その名はインペリアル
VIENNAから、ベーゼンドルファーのインペリアルの Synchron Player バージョンが発売になった。
サンプル音源を再生してみたら、最初の1音でのけぞった。おもわず両目のまぶたが大きく開いた。
すごい!!
圧倒された。
これまでに聴いたことのない音の深さ、音の調和。
スタインウエィでもヤマハでも出ない音。
すばらしい。
大きなピアノは、大きなホールでも聴こえる大きな音が出せるが、インペリアルなら、同時に小さな音も出せるし、どの強さでも壊れた感のない音が出せるだろう。
しかも、である。
インペリアルは、97音出せる。
普通のピアノは88音だが、これだと、曲によっては、出せない音が出てくる。
今使っているピアノは、ベーゼンドルファーの130CL。
大きなアップライトピアノだ。
このピアノは、88音が出せるのだが、今弾いている曲の楽譜には、88音で出せない音が書かれている。
インペリアル欲しい!!。
と思った。
インペリアルがあれば、大きな強い曲が弾ける。ラフマニノフやブラームスのコンチェルトが弾ける。低音を地鳴りのように鳴らす曲だって弾ける。
でも、ちょっと待った。
ベーゼンドルファー130CLは、大きな強い音は出せないし、88音しか出せない。
でも、この楽器は、優しく語りかけるような音が出せる。
小さな部屋の中で、仲の良い人たちに聴いてもらう音楽。
それでいいんじゃないか?。
それがいいんじゃないか?。
有名なピアニストたちが、大きなホールで、大きなグランドピアノを使って、全身の筋肉を使って、大きな強い音を鳴らす曲。
そんな曲を、僕は、この楽器を弾いて、語りかけるように演奏する、というスタイルでいいんじゃないか?。
聴いた人が、「あれ、この曲、こんなだっけ?。何か変?。」と、最初は奇異に思うだろうけど、聴いているうちに、「ああ、こんな演奏もあるのか。」と思ってもらえたらいいんじゃないか?。
そして、僕は、この楽器を極める。
それでいいんじゃないか?。
インペリアルを買うと、曲によって、あるいは演奏シーンによって、楽器を使い分けることになる。そうすると、僕の演奏の像は、ボケることになる。
だから、何がなんでも、今の小さな楽器、ってことでいんじゃないか?。
そんなことを思った。
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