40)新年のあいさつだから

もともと筆無精だが、すっぱり割り切って年賀状を書かなくなったのはずいぶん前である。当然、届く年賀状もごくわずかになった。紙のハガキは、である。さらりとメールやLINEが何人かから届き、こちらは年を追って微増している。ほぼタイムラグなしで近況を返信し、そのうちの何件かは近日中に会う予定が具体化する。

実は20代後半から30代は同級生たちとはかなり疎遠だった。早めに結婚・出産した人は子育てに忙しかったし、県外に転勤があったり仕事がこれまた忙しかったり。ところが40を前にしたあたりから、集まる機会が増えた。学校関係のイベントがきっかけになっただけではなく、子どもの手が離れたり、ワーカホリックな生活を見直したり、そしてSNSが普及して軽やかに連絡を取り合えるようになったのも一因だった。

たとえば遠方に住んでいる誰かが帰省すると聞くと、じゃあ集まろうか、と誰かがLINEグループを作って気軽に声を掛け合う。ひとりひとり電話をかけるわけではないので、しばらく接触していなかったとしてもそれほど抵抗がない。なんだかんだで年に1度くらいは10代からの仲間がそれぞれの今を持ち寄って顔を合わせるようになった。

ことに新年のあいさつは、他に何の理由もいらない良いきっかけになる。なにしろ中高生からのつきあいだから、ちょっとくだけた年賀スタンプを送ったり、年甲斐もなく「あけおめ ことよろ」で話は始まり、今年はさっそく4月と8月の予定が決まりかけている。普段はなかなか会う機会もないけれど年賀状だけは途切れず送り合うという形の緩くて長いつきあいは昔からあって、だから虚礼なんかじゃなくて年賀状も大事なの、と親からは言われていたけれど、まあ、もう形にこだわらなくていい。むしろこれから、古い仲間とも新しい友人とも、もっと緩やかでこまめなつきあいが広がる楽しい世界が開けていると思うと楽しみである。

2020/1/1

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