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ガの体色が急に変わった! 工業暗化とは?

1 導入

こんにちは。ひろきです。今日は短期間でガの体色が急に変わってしまった工業暗化という現象について解説していきます。生物の見た目が急に変わってしまうことってあるんですね笑 今回はそんな珍しい現象について解説していきたいと思います!

2 工業暗化って何?

タイトルにもありますが、ずばり「都市の工業化が進んだことで、現地に生息していたガの体色が白色から黒色に変化したこと。」です。

こんなことあるんですね笑 一応誤解の無いように言っておくと、昨日まで白色だったのに、ある日起きたら急に黒色になってた!ってことじゃありません笑

自然選択(自然淘汰)という現象が働いたがゆえの結果です。それでは、次に自然選択について説明していきますね。

3 自然選択とは何ぞや?

自然選択(自然淘汰)とは、「生存に有利な形質を持つ種のみが生き残っていくこと」です。と言っても良く分からない人もいると思うので具体例を挙げて説明したいと思います。

例えば、ある昆虫Aという集団がいたとします。この昆虫Aはイネの汁液をエサにして生活しています。人間から見ればいわゆる害虫です。我々人間からしたら害虫なんてとんでもない! すぐに農薬Bを使って駆除したとしましょう。

農薬Bの効果は凄まじく、殆どの昆虫Aを死滅させることに成功しました。ところがどっこい、完全に死滅させることはおそらく不可能でしょう。

なぜなら、生物の繁殖の過程においては常に遺伝子の突然変異なるものが存在しているためです。その結果、農薬Bに対して耐性を示す昆虫A(農薬Bに耐えられる遺伝子を持つ昆虫A)が生まれてしまいます。

なお、突然変異遺伝子は繁殖の中で排除されていきます。突然変異遺伝子は通常、子孫を繁栄させるうえで邪魔ですからね笑

話が少し逸れました笑 農薬Bに対して耐性を示す昆虫Aが数個体でも残ってしまったら大変です! その個体同士が繁殖することで生まれる子孫は農薬Bに対して耐性があるものが親世代よりも多いでしょう。もちろん生まれてくる全ての個体が農薬Bに対して耐性がある、ということはありえません。ここら辺に興味がある方は遺伝学を学んでみてください!

これらの繁殖を何世代も繰り返した結果、段々と農薬Bに耐性がある個体が増えていきます。その結果、昆虫Aは農薬Bに対して完全に耐性を持ってしまい農薬Bの効果は無くなってしまいます。

ちなみに現在猛威を奮っているコロナウイルスでも同じことが起こっていると思われます。薬剤耐性菌とかもこの類いですね。

ちょー簡単に纏めると「ある変化が起きた時には変化に対応できる個体のみが生存する。その個体が繁殖を繰り返すことで、しばらくしたら種全体として、変化に対応可能になる。」といった感じです。

自然選択の概念を始めて提唱したのは、ダーウィンです


4 工業暗化の主人公&背景

少し話が逸れましたね笑 ここで工業暗化の主人公のオオシモフリエダシャクを紹介します。見た目は日本にいる普通のガと何ら変わりません。

不快に思う方がいるかもなので写真は省きます。興味のある方はググってくださいね。

次に工業暗化が起こった時期の時代背景についてです。年代は1840年代~50年代のイギリスです。日本だと大体ペリーが来航したくらいですかね。

当時のイギリスは世界で初めて産業革命に成功した先進国であり覇権国。しかし、国を発展させるための工業化によってガンガン石炭を消費したため、大気が真っ黒になるほど大気汚染が進行していました。

5 工業暗化と自然選択

元々はオオシモフリエダシャクは白色の体色をしていました。が工業暗化、つまり自然選択の影響を受けて、体色が徐々に黒くなっていきました。

オオシモフリエダシャクは夜行性で昼間は樹木に止まって休んでいるのですが、石炭等による大気汚染の影響を受けて、樹木を覆っていたコケなどが死んでしまい、黒い色の樹皮が剥き出しになってしまいました。

黒い樹皮の上に白色のガが止まっていたりでもしたら格好の標的です!天敵である鳥に見つかりやすくなってしまい、どんどん捕食されてしまいました。

というわけで、突然変異で発生した黒の体色を持つガの方が生き延びれる確率が高くなります。体色を黒に決定する遺伝子を持つ個体の方が数が多くなり、これら同士が繁殖することで黒色の個体がどんどん増えていき、最終的に黒色の個体が大部分を占めるように変化しました。

これが工業暗化です! 3項目めで述べた自然選択が働いています。

6 オオシモフリエダシャクのその後

ところで現在のオオシモフリエダシャクの色は何色なのでしょうか?その答えはズバリ、白色です!

1950年代後半になってイギリスでも法律が見直され、大気汚染が厳しく取り締まられるようになりました。その結果、樹木上に再びコケなどが生えるようになり、樹木の色が白っぽくなりました。

そうすると今度は黒色の個体が生存に不利になってしまいます。先ほどと逆の現象が起こり、白色の個体が次第に増え、1980年代には白色の個体が全体の80%以上を占めるようになりました。

工業暗化ならぬ工業明化ですね笑 これも自然選択の一種です。

7 まとめ

工業暗化って言うのは生物が子孫を繁栄させていくために完成された現象の1つです。それにしてもたった数十年で変化に適応できるようになるのは早いですね笑 僕も周囲の変化への対応力を磨きたいものです笑

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