読書記憶11「笹の舟で海を渡る」

こんばんは。

4月に異動して、早2ヶ月。テレワークと会社への出勤とがあり、なかなかリズムが掴めませんね。

そんな中先週は珍しく週5日出社しましたので、通勤時間での読書が捗りました。


あらすじ

終戦から10年、主人公・左織(さおり)は22歳の時、銀座で女に声をかけられる。 
風美子(ふみこ)と名乗る女は、左織と疎開先が一緒だったという。 
風美子は、あの時皆でいじめた女の子?「仕返し」のために現れたのか。 

欲しいものは何でも手に入れるという風美子はやがて左織の「家族」となり、 
その存在が左織の日常をおびやかし始める。 
うしろめたい記憶に縛られたまま手に入れた「幸福な人生」の結末は――。


過去と現在を行ったり来たりしつつ、左織と風美子の40年…いや、人生が淡々と描かれています。
疎開先での出来事から、結婚、妊娠、出産、親の老いと死、子供との確執、、、
その時々で蘇る左織の記憶。
左織は、人生の終盤に何を思い、どんな行動に出るのか…?

人生礼賛

何か大きな事件が起きるわけでもなく、
淡々と進む人生の中の色々な出来事。
それが、うっすら怖くもあり、眩しくもあり、
まさに「笹の舟で海を渡る」!!

私は生きることの虚しさと、生きることが持つ力強さと希望を感じた一冊でした。
多分もっと若い時に読んでいたら、何が面白いのか分からない話で、何だかよく分からなかったとの感想しか抱かなかったと思います。

30をこえて、人生も中盤。
もう20代の頃みたいに楽しい事だけじゃなくて、
未来にワクワクしていて希望しかなかったあの頃の気持ちにはもう戻れないけど、
罪も後悔も罪悪感も全て背負って、
穏やかに日々を重ねて生きていきたいと思えた一冊でした。

あと、ミステリー好きとしては風美子の存在は何か裏がありそうで、ソワソワしながら読んでしまいましたが。
ああそうか…と、思わせる最後も良かったです。

日々に少し疲れてしまった人にこそおすすめの一冊です!

ponta

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