読書記憶17「殺戮にいたる病」

あらすじ


永遠の愛をつかみたいと男は願った―。東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラーが出現した。犯人の名前は、蒲生稔!くり返される凌辱の果ての惨殺。冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とらえようのない時代の悪夢と闇を鮮烈無比に抉る衝撃のホラー。

1992年

サイコパス、猟奇殺人、快楽的に人を殺める…

それが日本で取り沙汰されたのはいつからなんでしょうか?

古くはジャックザリッパー、エド・ゲインやアンドレイ・チカチーロなど、女性を殺し、殺しただけでは飽きたらず死体を切り裂いたりなんだりかんだり。殺すことが目的ではなく、手段な殺人犯たち。

日本ではあまりないように思います。(強姦殺人などはありますけど)

少なくともこの話が発売された1992年はまだインターネットが普及し始めた頃。

そんな中、こんな話が出ていた事にビックリです。

今読んでも面白く気持ち悪い。1992年の時代的背景はありますが、30年近く経った今でも充分に気持ち悪い。

気持ち悪いけど、なんというか、分かりやすく猟奇殺人のスタンダードというか。

きっとこの時代は、こういう訳の分からない“変質者”は恐れられていたんだろうなぁ。思い返せば親に(主におかんに)、幼い頃は知らないおじさんに誘拐されないように色々言われていたし、ある程度大きくなってからは男には気をつけろと言われていたし(その反動か遊び歩いて随分と怒られまくってましたけど)…今の時代なら、危険なのは知らないおじさんだけじゃないし、困ったらキッズ携帯で電話できるし、恐るべきは男ではなく無知だし、身体だけの関係は珍しくもないし。

たくさんの情報、たくさんの危険、たくさんの選択肢があって、その上でどう生きていくかどう自分を守るか、どう子供たちを護るかを考えなければならないと感じています。

いや、今も充分変質者、嫌だしこわいですが、訳の分からない怖さではなく、変質者にある背景や行動を正しく知って正しく恐れ、対策していく時代になったんだなぁと思いました。

時代とともに変わる快楽殺人の変遷についてと変わらない物について考えさせられた一冊でした。

ponta



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