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「覚醒のゆなな」 第4話 「衝動」


不思議とあまり緊張はしなかった。

柔和な表情でいたってフレンドリーな対応の猪木。

取材陣が仲を取り持つ形で対談は始まった。


今自分が立たされているセンターの状況を説明した上で、

圧倒的な大先輩、松井珠理奈や他のアイドルグループを相手に

どうやったら自分たちに時代を引き寄せられるのか

猪木に教えを請う形となった。


「正直俺はアイドルのことはわからねぇ...」

「ただ...話を聞いてる限り、君たちはここぞという時にガチで戦えるか、

も問われているように見える」

「ならば...いつでも懐刀は出せるんだぞ

という準備だけはしておいたほうが良いだろう」


「そこはアイドルもプロレスも同じなのかなと思うよ」


何かを思い出したかのように猪木の眼光に鋭さが宿る。

まんじりともせず受け止めるゆなな。

何かを感じ取った違いない。


しばし猪木と見つめ合うゆなな。


奇跡の会合は、あっという間に終焉を迎えた。


最後は猪木お得意の張り手でゆななに闘魂注入の儀式だ!

覚悟を決めたように仁王立ちで構えるゆなな。

下っ腹に力を入れるよう促されたと思いきや


「いくぞーーーー!」

バシッ!!!!!

静まり返った道場に乾いた音が響き渡った。

48グループでは過去じゃんけん大会での松井玲奈以来だろうか?


あの時の玲奈に負けず劣らず毅然とした表情を見せるゆなな。

だがここで思わぬ形で

ゆななのSKE魂に火がついてしまった!!


キッと猪木を睨み返したかと思うと

信じられない言葉を口走ったのだ!!


「私と戦ってもらえますか?」


予想外の展開に取材陣、レスラー陣ともにどよめきが起こる!!!


「よし!やってやろうじゃねえか!!」


猪木はトレードマークの赤いマフラーをコーナーポストに

投げつけたかと思うと勢いよく上着を脱ぎ始めた!

もう誰にも止められない!!


あまりの急展開に戸惑う湯浅支配人と蝶野を尻目に


どこからともなくゴングが打ち鳴らされた!!!


カーーーーーーーン!!

(つづく)

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