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【今日の助産師】「なんか気になる」の観察力

こんにちは。
「今日の助産師」の記念すべき2本目です。
あと1本書けたら、ご褒美です🍰

今日は看護の凄すぎるスキル、
「なんか気になるんだよね」についてです。

直感的な「気になる」

私たち看護職はよく、
「あの患者さん、なんか気になるんだよね」
と言う会話をします。

ベテランさんほどよくこの表現をします。

もちろん、恋愛感情的な意味ではありません。

ここでの発言者の意図は、
「(何が、とは明確に言えないんだけど、放置していると急変したり、メンタルが悪化しそうな、リスクを感じるから)なんか気になる」
と言う意味が込められています。

一般的には、中々理解されないです。
もはや占い師か予言者か何かです。

でも、この予言は当たることが多いです。
それが看護職の怖いところです。

この「何か気になる」について、
看護研究論文まであがっているくらい、
私たちには大事なスキルの1つになります。

EBM(Evidence Based Medicine)の時代に、
非科学的な力だなとも思いますが、
なぜ、現場では重要視されるのでしょうか?

そもそも、看護はArt

少し時代を遡り、看護の歴史を考えます。
近代看護教育の母といえば、
フローレンス・ナイチンゲールです。

戦時中、統計学に基づき公衆衛生や
医療衛生で大きな貢献をした人物です。

彼女の書いた、看護覚え書は
多くの看護学生が入学直後の課題で
読んだ(読まされた)事でしょう。
個人的には、
1860年に書かれたとは思えない、
画期的な良書だと思っています。

彼女は看護について、こう言います。

看護はひとつの芸術(an art)であり、それは実際的かつ科学的な、系統だった訓練を必要とする芸術である。

■Nursing is an art, and an art requiring an organized practical and scientific training.

(Lynn McDonald (ed.) The Collected Works of Florence Nightingale. Vol. 12 (The Nightingale School) p.736. Wilfrid Ⅼaurier University Press. 2009 )

つまり、看護にとって科学は必要だけど、
本質は直観的・感覚的なartなんだよ、
と言うことになります。

ただ、この直観とは、
「過去の経験の記憶」を根拠とした
脳の意思決定のプロセス
なので、
看護職の経験を基に導き出されています。

まさにこの直観、
「何か気になる」という感覚は
看護職の経験知そのものなのです。

そしてこの経験知は、
これまで出逢ってきた患者さんを
よく観察し、アセスメントを
繰り返してきた結果生まれます。

観察無くして、直観は生まれません。

直観を作る観察力

ナイチンゲールはまた、こうも言います。

正確な観察習慣を身に付けない限り、われわれがどんなに献身的であっても看護師としては役に立たない。

■…It may safely be said, not that the habit of ready and correct observation will by itself make us useful nurses, but that without it we shall be useless with all our devotion.

(Florence Nightingale.(1860) Notes on Nursing.[XIII. Observation of The Sick 35])

辛辣!!!
私たちの献身的看護を!!!

でも、だからこそ、
「なんか気になる」を、
それを支える直観や観察を、
私たちは大事にしています。

そしてこの観察力は、
社会でも非常に重宝されます。
これも看護の強みの1つです。
このアンテナは、誰もが持っているわけではありません。

私たちがしている観察については、
また改めて記事に起こしましょう。

それでは本日も、
ときめく1日をお過ごしください💐

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