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6年間、片想いできてよかったと思っている

 親友のことが好きだった。中学3年生で初めて同じクラスになって大学2年生で告白して振られるまで6年間。

 長い長い片想いだったけれど、静かに好きでいさせてくれてありがとうと思っているよ。本当に。

 ただ…まずはちょっと惚気と苦情のハーフ&ハーフでお届けしても良いかしら。

 思わせぶりな人なんですよ。罪深いんですよ!!!!
私が「好き!」と言ったら必ず「私も好き!」と返してくれて、お出かけのことは「デートだね!」と言ってきて!おまけにスキンシップ多いんだよぉぉぉ!!!何度(え?もしかして両想い?)と思ったことか。願ったことか。

 あの頃、ことあるごとに告白しようか迷っていた。結局卒業までできなかったけれど。奇跡が起きて恋人になれることよりも親友としての彼女を失う方が怖くて。

 ずっと考えていた。これが本当に恋なのか。他の友人に対して抱く感情とどう違うのか。彼女のどこが好きなのか。なぜ恋人になりたいのか。

 どれだけ「好き」と言ってくれても、それは私が抱いている感情とは違うのだと思い知るだけだった。だからゆっくり自分に向き合うことができたのだと、今となっては思う。その時は、つらかったけれど。

 女子校に通っていたため、恋人の有無を尋ねられることも、そもそも恋愛の話をすることもなく、自分の気持ちを大切にできた。私は、私の「好き」を大切にしていいのだと思えた。

 大学に入って、恋愛の目まぐるしさに驚いてしまった。異性とも同性ともおつきあいをしたけれど、お互いが恋愛対象となる性同士だと、こんなにも早く物事が進んでいくのか、と。「好き」に「好き」が返ってきた、同じやり取りのはずなのに、それを契機に友人から恋人になった。

 世間は恋愛をするのが当然のように、不躾に恋バナを振ってくる。同性と付き合っているときの「想定されてない」居心地の悪さや、隠さなくていいはずのことを隠している罪悪感を感じることもあった。

 でもねぇ、散々考えてきたのよ。今更揺らがないんだよ。私は女の子のことも好きになる人なんです。私はもう自分のことを気持ち悪いと思わないから。誰かがネタにしていても、ちょっぴり落ち込むくらいで済みますから。

 大好きだった。振られたときでさえ、その誠実さに惚れ直しそうになったくらい素敵な人で、今でもお出かけしてはおなかがよじれるほど笑っている。あなたと恋人になる未来は来なかったけれど、あなたのことを好きになったから、私は少し強くなれたんじゃないかな。今でも大好きです。6年間、好きでいさせてくれてありがとう。


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