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池袋ウエストゲートパーク 【ドラマ】

もうすぐ39歳。
お腹にこんな皮下脂肪がつくとは予想すらしていなかったあの頃、それは2000年のこと。IWGPは放送されていたらしい。

「池袋ウエストゲートパーク」というユーメーなドラマ。石田衣良の同名小説の実写。こんなにゆーメーなのにワタクシ全く記憶がない。
はて
2000年。わたしは何をしていたのかと思い返せば。そうだ高校一年生。その頃わたしは、吹奏楽に明け暮れていたのであった。

あの頃わたしは吹奏楽の鬼だった。
いや、吹奏楽の鬼の元で必死に石を積む高校生1だった。石を一個一個積み上げ、積み上げては鬼に壊され、積み上げてはまた壊されと、毎日心砕かれまくりの鬼練・鬼シゴキの日々。

わたしは5本の線の上に浮かぶおたまじゃくしのことだけ追いかけていた。夏のコンクールの曲だけにアホほど詳しくなっていった。やたら怖い感じがする女の先輩とのいざこざ…は特に木管楽器の子たちが犠牲ではあったが、朝練のロングトーンは、その喧騒から逃れるためのしばしの瞑想。そんな小さな世界の中にいて。

わたしはその3年間、俗世間から逸脱していたとはっきり申し上げられる。かろうじて、高二の時9.11が起こったことだけは記憶している。
世の中のことは全くついていけなくなっていた。だからIWGPなんて。こんな世界があっただなんて。

さて初っ端からSadsである。「サッズ」ってナマエ、聞いたことはある。君がSadsですか、Sadsって君だったのですか!ある意味で2000年は記憶喪失してるようなもんで、どこかで耳にしたサビの部分は、聞けばなんとなく懐かしくも感じてくる。

そして長瀬智也だ。これが出来上がりすぎだ。ハマりすぎ、マコトすぎ。てかドラマIWGPはみんな役がピッタリハマってるのが素晴らしい。
原作読んでたらまた違った感想を抱きかねないが、わたしは未読なのですんなり受け入れられた。

映画でも。ハリーポッターの時もそうだったのだ。わたしは「ハリーポッターと賢者の石」を読んでから映画を見に行った。予習して行くべきだと思ったのだ。映画愛が強すぎる故のこと。あの一大ハリポタムーブメントが起こった時代、わたしは映画を本当に楽しみにしていたのだ…それなのに。再現度は果てしなく高かったにも関わらず、なぜか楽しめなかった。映画が終わった後本当に悲しかった。あんな分厚い本、読まなきゃよかったって後悔した。
予備知識というやつは、良い時もあれば悪い時もあって、こと映画に関しては、いらなかったと思うことの方が多い。知ってると確実に楽しくない。以来、『本と映画があったら本が(原作が)後』っていうマイルールが自分の中にできた。

そんなことはどうでもいい。
このドラマの一番素敵なところは、社会の裏側やディープな世界にスポットを当てながらも程よくバカであり真剣味がないところ。そこがいい!
人も死ぬし闇もある、それなのにどこまでもふざけているので暗さも怖さも半分以下。そこがいい!

IWGPは、実はわたしたちが生きている世界そのものなんじゃないかと思う。なにも池袋に限ったことではない。というか池袋を、よく知らないが…
裏もある、闇もある。騙し騙され意味のない争いをし、巨大な組織にいいように使われて。そんな中で、わたしたちは笑って生きてる。

Sadsを聞き慣れてきた頃にやっと、エピソード回に合わせたタイトルがつけられていることに気がついた。第6話は「6チャンネルの回」。これはTBSで放送されていたから。第7話は「洋七の回」で、島田洋七が出演。だからってストーリーにはなんの関係もなかった。
そこがますますよかった。



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