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コンサルを目指す若い奴、ちょっとこっち来い

コンサル業を始めて来年で10年ぐらいになるということに気が付いた。実はこの業種を卒業したいと考えており、あらためてどういう仕事だったのかを整理しようと思っている。若者がどういう企業を目指したいのかということで引き合いに出されがちな東大生が選ぶ就職注目企業ランキング※を見てもおおむね上位の方はコンサルなので、コンサルを目指したい若者は一定数いると思われる。
※東大生を選ぶ時点でサンプリングのセンスがないなと毎回思ってしまう

確かにコンサルは概して給料が良い。それは間違いない。ただ、給料だけで選ぶと不幸になるかもしれないので、どういう職種なのかというのをできる限り情報を集めた方がよい。

なお、この時採用する側から提供される情報を過信するのはよろしくない。採用する側としてはエントリーしてほしいので、当然いいことしか言わないことが多い。

ここでは、私見として「こういう人だったら向いていると思う」ということをとりあえず書いてみようと思う。これがコンサル像理解の一助となれば幸いである。
なお、コンサル希望の人に限ってそれはないと思うが、この文章がコンサルのすべてを表現していると思わないように。

っていうかお前は誰よ

コンサルというのは、ざっくり分けて3種類いる。私は3のカテゴリで、いわゆるDXみたいな仕事をしている。(1の話を聞きたかったの私は!という人は今すぐタブを閉じて企業参謀を読むなりなんなりしてください)
私はいわゆる総合コンサル的な会社にいたので、1-3までだいたい知っておりますが、あくまで3からみたコンサル像だとお考えいただきたい。

  1. 戦略コンサル
    通称戦コン。CXOアジェンダをXXしてXXする人たち。
    ここがgood:
     ・給料としては一番高いのであこがれる人は多い
    ここがbad:
     ・競争が苛烈。ストレス耐性がないと(以下略
     ・絵に描いた餅の絵を描く様な人たちとdisられることもある

  2. 業務コンサル
    通称業コン。特定の業界・業務に詳しい。事業会社からコンサルに転向してくる人がなるポジション。
    ここがgood:
     
    ・お客さんの業務に近いので一番愛される
    ここがbad:
     
    ・お客さんの社内政治に振り回されがち

  3. テクノロジーコンサル
    特定のテクノロジー/メソドロジー((各種クラウド系テクノロジー、IoT、デザインシンキング、データサイエンスなんちゃら等)に詳しい。
    ここがgood:
     ・そのテクノロジー領域における尖りっぷりがそのままvalueに
     ・コミュ障でもつとまる
    ここがbad:
     ・1および2の人にこき使われがち
     ・1、2の人らの要件定義がゴミだと真っ先に死ねる

コンサルを構成する要素

マゾ属性

一番重要な要素を挙げろと言われたら真っ先にこれだと思っている。基本的にコンサルは激務であり、理不尽な要求やスケジュールや条件でもなんとかすることを求められ、かつ同じコンサル内でも強烈な競争にさらされる。
この状況を喜びに変えられないタイプだとまず務まらない。

採用の時に、自分は採用可能性が高い人に対しては「まず、この仕事は非常に過酷だし競争も激しいですが、そこは理解してますか?大丈夫ですか?」ということを聞いて確認するようにしている。そこを宣言せずに採用するとお互い不幸だからである。

過去に自分が会ったコンサルとして有能な人を思いつく限り挙げてみるとみんなトップマゾである。彼らは多額のローンを組んだり、特定のアイドル・サービスに激しい課金をしたり非常に厳しい奥様を選んだりするなど日常生活においてもセルフマゾを怠ることがない。

なお、マゾにも2パターンあり、どちらのマゾでもコンサル向きではある。

  1. Dualマゾ
    お客さんor上長に対してマゾ、配下の人にはサドという二面性があるマゾ。PM向きだがPJ難易度が高くなりがちであり、配下の人は大変

  2. 真性マゾ
    誰に対しても分け隔てなくマゾ。突然議事録とか調整とか細々した作業をやったり、「私が実装する!」とシャウトして配下の人に威圧感・恐怖を与え、頼んでないのに一人激務をこなす。配下の人で感受性高い人は大変

自己肯定感

一般的にコンサルのところにくる案件は拗らせ切った風邪のようなもので難易度が高い。そこでちょっとでもコンサルが弱気を見せると「あの人は単価に対してXX」みたいな形で思われてしまう。なので、自己肯定感が薄く、自己反省をひたすら繰り返しているような人には決して向かない職業だと思っている。
実態が伴ってなくても「私のスペシャリティはXXで~」みたいなことを公然と話せるようなタイプがお客さん受けもよいし、出世もする。
自己肯定感を持ってお客さんを安心させることが仕事、だとも言える。ジャングルツアーでガイドが弱気だったら嫌でしょ?

論理的思考力

これが一番大事、だという人も多いが私は体感としてマゾ属性、自己肯定感が8割で残り2割ぐらいこれがあればよいと思っている。
(論理的思考力とは何か?というのはミント本でもなんでも読んでいただきたい)なお、論理的思考力が強いのはいいことだが、拗らせると他人のプレゼン資料を見て「まるで構造化されてない」「①-③までの粒度がそろっていない」とか口走って嫌われることになるので注意。

なお、この類の能力が必要と言われてトレーニングしている輩は腐るほどいるのでいまさらそこで差別化を図るのは難しい。最低限は必要だが、集団から抜け出すためにはマゾ属性・自己肯定感を鍛えることが肝要だ。

【参考】なぜ私はコンサルを卒業しようと思っているのか

なお、ここまで私が思うコンサル像を書いてきたが、参考までになんでやめようと思っているのかを最後に書いておこうとおもう。

向いてなかった

一言で言うと、「私はコンサルに向いてない」。
自分はマゾ属性は極めて高いと自負しているが、自己肯定感が著しく低い。毎晩自己反省のオンパレードで免疫が下がるとまずいお年頃※に来ているのでここでちょっと流れを変えたいなと。
向かない職業をヒィヒィ言いながら喜んで続けているうちに気が付いたらもうこれ以上進めないポイントまで来てしまった。おマゾが過ぎた。

※自分のちょい上世代で体調を崩している人が多く、危機感を持っている

型にはめるのに疲れた

コンサルでは、一般的には過去に売れたなにがしかの事例やソリューションがあって、その型にはめて売ることが多い。程度の問題はあるが、型がまったくないものを売るということは推奨されない。(それはどちらかというとR&D)
基本的に過去にうまくいった成功事例にのっとることは賢い。だが、そういうのは飽きてしまった。ばかなやり方でも許されることをやりたいなと思っている。

旗振り役がコンサルっておかしくね?

業務改革とかDXを推進するのってやはり事業会社が主体でやるべきで、それをコンサルに指示されながらやってる、みたいなことを聞いたりもするのだが、それは良くない。戦略を戦略コンサルに書かせたり、業務フローを業コンに書かすのは事業会社として非常にマズくないか。自分の会社のことは自分たちが一番詳しくないと。(デジタル領域をJV/子会社として切り出すとか、本業でないところを一部委託するというのはアリ)

「自分のゴールや課題が何なのか」すらわかっていないお客さんに対してゴール設定から課題洗い出し、計画策定までお膳立てして「私がんばってるでしょ、すごいでしょ」というのはやりたくない。
お母さんじゃないんだから!

なので、もし人生のテーマをDXの推進にするのならば、コンサルではない立場でやりたいかなと思っている。

おわりに

…というわけで、どちらかというとコンサルのポジティブではない面について散々書き散らかしてきたが、コンサルは給料もいいし、弁舌さわやかに要領よく会議をファシる姿から若者のあこがれの的になる職業ではあると思う。また、業界/企業の枠にとらわれず仕事ができるという意味でも、進路を決めきれない人はモラトリアム的にコンサル業界に行くというのもありかもしれない。

ただ、個人的には自分こそは優秀だと思っている人は事業会社に行ってほしいと思っている。国や社会を支え、回していくのはあくまで事業会社の人なのだから。

そこの人材のバランスが変われば、日本のDXは少しでも良くなるんじゃないのかなと思ったりする。

<おわり>

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