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【ショートショート】その手があったか【ドローンの課長】

   その手があったか

 課長がドローンになった。社員の身長よりも高いところを飛んでいくので特に危険はない。仕事もこなしてくれるし特に不便はなかった。が、新人からすれば驚きだったようだ。様々な社員に「何故、ここの課長はドローンなんですか?」と聞いて回っていたが誰もその理由を知らなかった。
 会社は繁忙期に突入した。新人も俺も目が回るくらいに忙しかった。課長もあたふたと飛んでいたが、あるとき自然に開けっぱなしの窓からすーっと飛び去っていくのを見た。
 なんとなくスケジュールを見る。課長の予定に出張の文字はない。まさか……確かにウチの会社は薄給激務で新人が耐えられずに蒸発するなんてこともあったが……。
「大変だ、課長がトんだぞ!」
 俺は大慌てで声を張り上げた。まだそう遠くには行っていないはずだ。今から追いかければ間に合う。が、誰一人として動く気配がない。
「そりゃあ、ドローンなんだから飛ぶでしょうよ」
 一人がそう言うと、フロアが笑いに満ちた。


毎週ショートショートnote
お題:ドローンの課長
文字数409字

気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)