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【ショートショート】新手の拷問【カフェ4分33秒】

   新手の拷問

 暇だったので、「カフェ4分33秒」へ入ろうとすると、通りすがりの女性が「ちょっと」と声をかけてきた。
「やめた方がいいわ」
「何故ですか?」
 女性は口ごもった後、「行けば分かるわ」と言って立ち去った。
 疑問に思いつつ、僕は店の扉を開けた。
「いらっしゃいませ」
 ウェイターの声に従い、適当な席に座る。すぐにお冷やとおしぼりが運ばれてきた。そのままの流れで料理を注文。
 それからが酷かった。

「ハァ~……、メロン(メロン!)、クリーム(クリーム!)ソーダ!(そうだ!)ソーダ!(そうだ!)そだそだそだそだ!」

 意味不明なBGM。

「サンドイッチ、サササ、サンドイッチ」

 思わず近くの客に「これは何ですか?」と聞いてしまった。
 客は答えた。
「注文を待つ間にも、食事の楽しさを味わってほしいという演出さ」
 程なくして、BGMに合わせた動きでウェイターが料理を運んできた。味は分からなかった。恥ずかしさでそれどころではなかったので。


 毎週ショートショートnote
 お題「カフェ4分33秒」
 文字数408字
 

気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)