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【ショートショート】僧は敲く、お前を【文学トリマー】

   僧は敲く、お前を

 なぁなぁ、その小説、文学トリマーに任せてくれよ。ああ、文学トリマーってのは、つまるところ「推敲のプロ」のかっちょいい言い方ってだけ。お前の小説をチョチョイと整えていい作品にしてやるよ。
 それじゃあ早速。うん? 何だこの「頭痛が痛い」って。頭痛って時点で頭が痛いって意味になるだろうよ。はは、まぁよくやる。わかるよ、うん。この調子でいらないところを削ったり必要なところを書き足したりして整えていくぞ。
 おっと? 主人公のこのセリフ、いるか? 地の文でほぼ語ってるし、ていうかそもそもこの一連のシーン自体がいらなくないか? 伏線……っていうほど伏線になってないし、必要ないよ。カットカット。

 ……ほら、最後までできたぞ。
 あんまりにもいらない部分が多いから、十万字超えの長編が、気がついたら百四十字小説になっちまってたけど……今は百四十字小説も需要あるだろ!? ほーら面白い。だからそのハサミを俺に向けないで、あー。


 毎週ショートショートnote
 お題「文学トリマー」
 文字数407字

気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)