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【ショートショート】11年後に、また【ルールを知らないオーナメント】

   11年後に、また

 久々に表に出てきたオーナメントは一番いいところを選んだ。大きな木の上は見晴らし抜群。しかし、
「そこは星さんの場所だよ!」
 と、追い出されてしまった。木のてっぺんには星を置くのがルールらしい。仕方がないので木の下に座っていると、
「そこはプレゼントたちの居場所!」
 と、追い出されてしまった。木の根元にはプレゼントを置くらしい。仕方がないので別の場所に向かう。なんせ最後の出番が去年のことで、一切記憶がない。が、やっと思い出した。
 ――そうだ、僕は正月の飾りだ。
 棚に登る。ふわふわの座布団。なつかしい。去年もここに居た記憶がある。
「あー……」
 だというのに、歯切れ悪く何か言おうとしている奴がいる。門松のミニチュアは申し訳なさそうに口を開いた。
「そこはお前の場所じゃないんだ」
「嘘だ、間違いなく僕は去年ここにいた!」
「去年はあってたんだよ」
 門松がそう言った瞬間、パパはウサギの置物をどかした。代わりに龍の置物を置いた。


 毎週ショートショートnote
 お題「ルールを知らないオーナメント」
 文字数410字

気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)