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【設定資料】デラングード採石場の魔物退治 依頼報告書

  こちらの小説のオマケです。

依頼報告書
依頼番号:798-AN-01025
分類:魔物退治
ランクD
(「緊急」というハンコが押されている)
進捗:完了・経過要観察

報告記述書(足りない場合は専用の用紙に追加して記述)

 デラングード採石場は周辺を森に囲まれた巨大な採石場である。近場の集落の人々はここで採取した良質な石材を外部に売って生活をしている。周辺には森が広がり、鹿や猪等の野生動物から、ゴブリンやコボルト、オオトカゲ(魔物)の生息も確認できる。

 今回の依頼内容は「魔物が採石場を占領してしまい、石の採掘ができない」「急激に増えた魔物が村を襲ってくる」という緊急性の高いものであった。村人の話によると、「今までに魔物が村を襲うことはたびたびあれど、最近はめっきりなかった」「採石場を占領するなんて前代未聞だ」とのことである。しかし、先述の通り周辺環境のことを考えれば、魔物が採石場を占領する可能性は十二分にありえたことであり、なんら不思議な話ではない。
 採石場の占領はともかくとして、魔物が再び村を襲うようになった理由としては、近隣で塔の建設作業をしていた人物が去ったことが考えられる。彼は定期的にギルドへ依頼を出しており、我々ナナシノ魔物退治屋も一度依頼を受けたことがある。依頼内容はさまざまあったが、そのうちのひとつに「塔の建設の邪魔になる魔物の退治」があった。最後に魔物の襲撃があった時期と、今回の依頼の時期の間、つまり魔物の襲撃がなかった時期はちょうど塔の建設作業の期間と一致する。
 今回住み着いていた魔物はゴブリンであった。ゴブリンそのものは決して脅威ではないものの、今回の事例においては投石による攻撃手段を得ていることが他の魔物との違いであろう。しかし、投石が効果的なのは「攻撃をする側(石を投げる側)が上に陣取り」「攻撃を受ける側が下にいる」場合だ。このデラングード採石場は石を下へ掘り進めている。つまり「攻撃をする側(石を投げる側)が下に陣取る」形状になるため、投石は案外脅威ではない。目や頭に食らえば相当なダメージになるのは確かだが、対処困難というほどではない。それなりの経験を積んだ魔物退治屋であれば対処は容易であると考えられる。障壁魔術の心得がある者がいると心強い。

 採石場の鉱夫たちに、今後は定期的な魔物退治屋の利用を勧めた。しかし、金銭的余裕がないため渋っている様子であった。
 今回の依頼に関しても報酬額が著しく低かったため、緊急性の高さのわりに手を挙げる魔物退治屋はいなかった。やむを得ない状況だったため今回はこちらで対処をしたが、次回以降は改善を強く望む。
 また、彼らが強く希望している「塔の建設者の帰還」に関しては、実現は絶望的であることを付け加えておく。途中まで出来上がっていた塔の壁は建設者が去るときに石材がもったいないという理由で解体されており、それをまた作り上げるとなると膨大な時間がかかる。建設者も今は新天地で新たな生活を始めており、戻る気はないということを聞いている。
 そもそも塔の建設者が塔の建設をあきらめたのは、採石場利用者からの妨害があったからであり、厳しいことを言うようだが「自業自得」であるとしか思えない。

文責
  ナナシノ魔物退治屋 ノア・ヴィダル

気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)