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【ショートショート】開拓者【三分豚足】

   開拓者

 豚足大食い大会の優勝を目指している人々が、こぞって店にやってきた。
「いらっしゃい!」
 皆は早速豚足を注文し、当然のように店の豚足をすべて食べつくしてしまった。
「いい食べっぷりでしたね」
「ええ。大食い大会の練習をしています。また来ますね」
 お会計を終えて出て行った皆に対し、店主は即座に明日の仕込みを始めた。
 そんな日々が続いたものだから、店主は三分で豚足を用意できるようになった。しかしそれももうじき終わる。豚足大食い大会まであと一か月を切ったのだから。
「すみません」
 ふと、自分を呼ぶ声が聞こえた。玄関へ向かうと、きちんとした身なりの人間が二人、会釈をしてきた。
「我々、こういうものでして」
 差し出された名刺には「豚足大食い大会主催」とある。
「あなたに、大会で豚足をゆでていただきたく……」
「どうして私に?」
「そりゃ、三分豚足のパイオニアが一番ですから」
 どうやら、三分豚足の噂は運営本部にも届いていたようだ。


 毎週ショートショートnote
 お題「三分豚足」
 文字数400字

気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)