【ショートショート】狭い世界の広い視野【優先席の微世界先生】
狭い世界の広い視野
微世界先生はバスの優先席にいた。隣には病院帰りらしいおばあさんと、学校帰りの高校生。バスが止まって、みどりさんが乗ってきた。
「みどりさん。こんにちは」
「こんにちは、先生」
元気そうなおじいさんもやってきて、高校生に絡みだした。
「席を譲れ!」
確かに優先席はお年寄りや妊婦、ケガ人のためのものだ。だが、あんな態度では逆効果。高校生は困った顔をした。席を立つ気配はない。
「気持ちは分かるけど、席を譲らなきゃ」
「みどりさん、見た目で判断しちゃ