私はどちらの佐藤なのか

私はどちらの佐藤なのか
昨日読んだ本に、私はどちらの○○なのだろうか、と主人公が自分の所属や自分の存在、自分の職業について疑問を持つ場面があった

その読んだ本は小川哲の『僕が手にするはずだった黄金について』なのだけれど、主人公は小説家で、小説家、はどこの会社にも属していなければ、あなたは小説家ですと証明するものもないから、僕は本当に小説家なのだろうか、と自分の存在を疑問に思っていた

では、私はどうだろうか
私は、どちらの佐藤なのだろうか
いや、注釈をつけたいのだが、私は佐藤ではない、本名は書けないのでとりあえず、佐藤、としているだけであって、まあもしかしたら佐藤である可能性も捨てきれないけれども

そんなことはどうでもよくて、
私は今、働いていない、ということは無職だ
ということは、小説の主人公と同じく所属がないのだ
結果的にいうと、私はどちらの佐藤でもない、なんでもない佐藤なのだ

けれども、主人公は小説家であり、それを専業としていた
自分の存在を表すものがあるからこそ、「疑う」「揺らぐ」「分からなくなる」という考えになったのではないか
周りからこうだ、あなたは小説家です、とか、先生、と呼ばれている、だとか、そんなことがあるから、疑えるのだと思った
私のように、なにもなければ、結果はシンプルだから

そう、私は今なにでもない佐藤なのだ
けれども、私を構成するものはいくつも、たくさん、数えきれないほどではいけれど、ある
身分だって、運転免許証もあるし、マイナンバーカードもあるから証明はできるし、警察官から職務質問されても提示ができる

どこどこ県に住んで、どこどこのアパートに住んでいて、だれだれとだれだれの間に生まれて、名前はこうです、みたいな感じ

そんな感じに、自分のことを答えることができる

ふと、

今思った
私がいま、いなくなったら、まあ死んでしまったらということだけれど、
そんなことを考えることは不謹慎なので本当はしたくない
けれど、少し考えてみる

私がもし、この世界から、この今生きている、ということから外れたとしたら、このどこにも所属していない私はどうなるのだろうか
どこかに所属をしていたらそこから連絡がきたり、そこの人が心配をしたりするだろう、毎日そこに行っていたら、少なくとも月曜日には連絡が入るだろうなと思う
私の場合は、なんにもないだろうな
そうか、こどくし、とはこうゆうことかと思った
漢字にするとなんだか怖いのでひらがなにしておく
自分がこの世界から外れたことを誰にも気づかれない、孤独の中で外れていく、そうゆうことか

あ、ひとつ訂正したいけれど、さっきの本の主人公は必ずしも、自分の「所属」についてだけを疑って「私はどちらの○○か」と思ったのではない、「小説家」という職業に関して疑問を持ったから、とかいろんな要素が含まれている

こどくし、についてだけれど、
最近ネットで話していたら、「一人でしぬのは嫌だからパートナーがほしい」という人がいた
「なぜしぬことにパートナー」が必要なのだろう、そう私は思った
しぬ、ことは一人でできる
人は生まれる時もしぬ時もひとり、とどこかで前に読んだ気がする
それなのに、なぜ、一人ではだめなのか
そうか、自分が、いなくなったときに、見つけてくれる人がいないからだ、それが答えの一つではないか

見つけてほしいし、心配してほしいから、パートナーがほしい
そうなのかなあ、どうなのかなあ
そう考えると、しぬ、終わる、時のためにパートナーを作ることになる
それってなんだか不思議ではないか
とても不思議だ
楽しいことを共有したいからとか、悲しいことを半分にしたいからとか、よくいう理由のほうが納得できる気がする

けれど、合理的に考えれば、
自分が世界から外れた時に見つけてくれるのが早ければ早い方がなにかといいはずだ、身体の状態とか、家賃とか、年金とか保険とか、その人がいないのに払っている、なんてことが防がれるだろうし、自分の家族にだって知らせてくれるだろう、少なくとも、いや必ず、家族なら私がいなくなったことに悲しむはずだ

いつかくる終わりのためにパートナーを探しておく、ことも悪くはないかもしれない
自分の属する所属がない今だけのメリットかもしれないけれど

あ、
もうひとつ訂正したいのだけれど、
明日、ともすれば今日、私は母の日のために実家に帰る約束をしているし、15日にはハローワークに行かなければいけないから、その二つ、母親かハローワークの職員からは、もし私がこの世界から外れた場合、連絡は来るだろうから安心してほしい

まあ、この世界から外れる、予定は頭の片隅にもこれっぽっちもないので心配はご無用なんだけどね

あれ、ともすれば、ってなんだろう
調べてみたら使い方が違うぞと気づいた、けれどそのままでいこう
はたまた、に変えような
うーんちがうな、日本語ってやっぱり難しいね

こんな時間に記事を書いているので、ともすれば私は明日寝坊をするかもしれない
そりゃいけない
歯を磨いて早く寝よう、今すぐ寝よう


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