新事業部立ち上げ

 会社の本業は看板製作と設置。レンタル看板とかはやってない。そして今度新事業として写真事業部をたちあげるのだそうだ。私はその要員として呼ばれたわけ。新事業部の部長は営業部長のSさん。

 Sさんは元々カメラマンであり、今もその仕事を副業として続けているとのこと。スタッフが常駐しているスタジオも3ヶ所持っているという。

 新事業部を立ち上げるのは、京都の観光PRプロジェクトに参加するためで、あの有名な「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンにも関わることになるという。ただし、毎日写真の仕事があるわけではないから、写真の仕事がない日は看板の仕事をしてくれというのが今回の採用条件のひとつだった。

 まずは必要な機材リストの作成と購入先の選定を言い渡された。1時間ほどで仕上げたらもうSさんは出かけてしまっていたので、リストは社長の奥さんに提出しておいた。最低限のリストアップだったが、費用を見て奥さんは目を丸くしていた。まあ最初はお金がかかる。まだこの頃はフィルム全盛期だったので、初期投資を済ませてしまえば後はしばらく整備点検やオーバーホールに費用がかかるくらいだけど、その初期投資が大変だ。今はデジタル機を使うようになってしまったから、買い替えサイクルがとても早くてもっと大変なんだけど。


 まず内勤業務についての説明を受ける。私の担当はとりあえず雑多な軽作と、イラストレーターというソフトのオペレータ業務になるそうだ。私がWindowsもMacも扱える事、この会社で使用するソフトのほぼ全てを扱える事がわかり、奥さんはかなり大げさにホッとした様子を見せた。でも新事業部の話題になると目をそらすというかよそよそしくなるというか、おかしな雰囲気になるのが気になった。Kさんも距離を保つというか、新事業の話にはなるべく関わりたくないというような素振りだ。

 ハイテンションなSさんのノリと、社内の雰囲気はちょっと違うようだ。