とある会社に迷い込んだ2年間

 ある日の仕事中に携帯電話が鳴った。ある結婚式場でロケーション撮影の準備を済ませ、被写体となるお二人を待っていた時のことだった。かけてきた相手は以前の勤め先で出会った外注業者の営業部長さんだ。

「今何の仕事してる?新規で立ち上げる仕事があるんだが一緒にやらないか?」

以前の勤め先を辞めた後、フリーのカメラマンとして仕事をしていた私へのオファーだった。ありがたい話だ。でもよく聞くと請負仕事ではなく、先方の会社に勤務する必要があるという。

婚礼業界から離れたいと常々考えていた私にとって、それは大きなチャンスのように思えた。思ってしまった。

新規事業の説明を受けつつ、今の仕事の引き継ぎや自営業者としての事業の中断などをざっと考え、ほぼ二つ返事で承諾した。

これでとある会社に迷い込むことになった。その会社は非常に特徴的な人が集まる、まるで異世界の様な会社であり、まるで漫画の世界の様な2年間を過ごすことができた会社だった。