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ウクライナについて、ロシアの言い分

1月27日、アメリカのバイデン大統領は、ウクライナのゼレンスキー大統領に「2月にロシアが攻めてくる」と電話で告げました。それに対して、28日、ゼレンスキーは「もうやめて、パニックつくらないで」とキレ始めました。まぁ、そんなに煽ったらほんとに戦争が始まるかもしれないし、投資引き上げられるし、ウクライナの国民はロシアと対立したいと思わない、かもしれない。

アメリカが「ロシアの脅威」と喧伝すればするほど、本当は戦争したいのではないか、と違和感がぬぐえません。そこで今回は「ロシアの言い分」をまとめてみようと思います。

そもそもロシアは一体何を求めているのか?

プーチン・ロシアの主張は一貫して「ウクライナをNATOに加盟させるな、法的に保証しろ」です。今に始まったことではありません。

「統一ドイツを認める代わりに、NATOは東へ拡大しない」とアメリカは言ったじゃないか、というのがプーチンの言い分です。ただし、ソ連末期にゴルバチョフ大統領が交渉した話で、文書には残っていません。

(このあたりは、こちらの記事が詳しいです)


そもそもNATO(北大西洋条約機構)とは?

第二次世界大戦後、アメリカ主導で「ソ連を封じ込め、ドイツを引きとめる」ために作られた軍事同盟です。西ドイツがNATOに取られてヤバイと思ったソ連は、東欧の子分たちをまとめて「ワルシャワ条約機構」という軍事同盟作りました。

冷戦の始まりです。

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赤がワルシャワ条約機構、青がNATOです。赤色の陣地が多いですね。しかし、1989年の東西ドイツ統一で冷戦が終了すると、91年にワルシャワ条約機構は解体されました。

NATOはどんどん拡大する

現在のNATO

そして、現在の勢力図がこちら。濃紺がNATOの加盟国です。オレンジ色がNATOとの「平和のためのパートナーシップ」を結んだ国です。ソ連崩壊後、かつての敵だった旧ソ連の国々と東欧諸国が加盟しました。そして続々とオレンジから青に変わっていったのです。はじめは、無用な摩擦はおこしたくないからと、NATO本体に東欧は加盟させないと言っていたのですが。

東欧の方から入れてくれといってくるし。

ロシアは、新加盟国の領土に核配備をしないんだったらまあ仕方がないと譲歩し、1997年にアメリカとロシアは協定を結びました。NATOは「申請した国が条件を満たしたら加盟を認める」という方針を決めました。

ヨーロッパはもっと加盟国を認めたかったのですが、アメリカは「ロシアを刺激したくない」と、ポーランド、チェコ、ハンガリーに限定しました。そして、3つの国は、2000年に加盟します。

さらに。2001年にアメリカ大統領のジョージ・ブッシュがぶち上げました。「加盟を希望する民主主義国家は俺のところへ来てもいいぞ」プーチンは反対します。「これからはテロの戦いだから。軍事同盟は必要ないから。」

この頃のプーチンは、国内の反対にあってもNATOと協調しました。その見返りにNATOは「旧ソ連のバルト3国は加盟させない」ことを約束したのです。

ところが、2004年、旧ソ連のバルト3国(エストニア、ラトビア、リトアニア)スロバキア、スロベニア、ルーマニア、ブルガリアが、NATOに加盟します。

この2004年というのは、ロシアにとって苦渋の年でした。NATOに東欧諸国を奪われた上に、旧ソ連の国であったグルジアとウクライナが、「バラ革命」、ウクライナの「オレンジ革命」でロシアの影響から脱したからです。選挙を通じて親ロシアの大統領が失脚し、親欧米の政権が誕生したのですが、裏にアメリカの陰謀があるとみていました。

ウクライナの「オレンジ革命」の場合、ウクライナの大統領は親ロシア派のヤヌコヴィッチ。対して野党のユーシェンコ。「民主主義」を唱え勝利します。その後、ユーシェンコ側は、汚職と内ゲバで支持率を落とし、ヤヌコヴィッチが返り咲きます。皮肉なことですね。

とにかく、アメリカはNATOの拡大を進めるだけでなく、「民主主義」の名のもとに自分たちの領土である旧ソ連の国々をかすめ取ろうとしている。そういう、焦燥がマシマシになりました。

そして、2014年にキエフ、クリミア、ドンバスでプーチンは切れたのです。(つづく)



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