マガジンのカバー画像

やさしさ解剖実験_やさしさって何?

10
日常的に感じたことを紹介しながら、やさしさを解剖するという試み。やさしさの奥深いところまでたどり着きたい。
運営しているクリエイター

2018年10月の記事一覧

「遊んでくれて、ありがとう」

「遊んでくれて、ありがとう」

一昨年のお正月。

祖母の家に、親戚らが集まった。

いとこの子ども(4歳・女性)に誘われ、カードゲームなどで一日中、遊んだ。大人だから、遊んであげたのだ。

その子が帰るとき、ほかの親戚らは玄関まで見送っていたが、私はめんどうくさくて、奥の部屋で、一人ぼーっとしていた。

すると、その子はわざわざ私のところまで来て、
「きょうは遊んでくれて、ありがとう」
と言ったのである。

その瞬間、遊んで

もっとみる
「私、つまんないもん」

「私、つまんないもん」

またまた、映画『男はつらいよ』(第15作寅次郎相合い傘)から考えてみよう。
かの有名な「メロン騒動」で、寅さんとリリーは喧嘩をする。
実家とはいえ、居候の身の寅さんのワガママぶりに、リリーは正論をぶつける。バツの悪くなった寅さんは家から出て行ってしまう。

その後、仕事に出かけたリリー。
帰り道、最寄駅に着くと大雨で、傘がない。
そんなところに、大きな傘をさして待っている寅さん。

リリー「

もっとみる
あなたは、どちらを助けますか?

あなたは、どちらを助けますか?

ある人の話である。

その人はバツイチ・子持ちで、再婚した。
新しい相手にも子どもがいて、二人の親になる。

たとえば、自分の子どもと、相手の子どもの二人と一緒に遊園地に行く。

二人は喜びのあまり、入口ゲートまで走る。

そのとき、二人が同時に転んだとしよう。

さて、あなたは、どちらを先に助けますか?

その人の実母は言った。

「二人の子どもが同時に転んだら、自分の子どもを後回しにし

もっとみる
「お父さんもポンコツだったな」

「お父さんもポンコツだったな」

先日、大学の友人(新郎)の結婚式に出席した。
新郎は、サークルの後輩で、仲の良いグループの一人だ。彼はどちらかと言うと、イジられ役で、みんなのアイドル的な存在である。

チャペルに登場した際には、そのタキシードの似合わなさ具合から、感動より先に、自然と微笑みがこぼれてしまった。

私たちは、いつも彼をイジっていた。天然で、論理的に話すことが苦手な彼。でも憎めない。
本当はプライドが高いはずのに、自

もっとみる
やさしさの出発点

やさしさの出発点

映画『男はつらいよ』(第15作寅次郎相合い傘)を観ていたら、あるシーンで疑問が出てきた。

マドンナでも誰でもお客さん(今回はリリー)が「とらや」に来ると、おいちゃんがおばちゃんに「ほらほら、お茶、お茶」と言うのである。
このシリーズでは、何度も観るシーンだ。

要するに、お茶を用意するのは、夫(男)ではなく、妻(女)であることが前提となっていて、特に誰も違和感を感じないような世界なのだ。

もち

もっとみる