見出し画像

車に関するカタカナ〜独創性の毒草性〜

【Preface】

Hello from Cairns! すっかりケアンズのlazinessに染まって今日も今日とてすっぴん深夜マックの柑橘の登場です。マックは別にlazinessのせいじゃないけど。こっちの人は基本他人がどうするかなど気にしてないので、こちらも安心してWho cares?と言わんばかりに好きな格好で好きなように出歩いています。

時にみなさま、今回のサムネは読み取れたでしょうか?
この記事の話題、というかネタを象徴するように遊んでみました。というわけで(?)本日はツッコミどころ満載、というか納得できるところを探す方が難しい、車用語について喋り散らしていきたいと思います。以下の記事の【terms/車用語】の拡張版です。

【Car words】

独断と偏見により、なんとなくカテゴリー分けしました。目次では意味がわからなくても、多分読みおわったらわかってくれる。いや、わからせる。

【日本流略式】

・アクセル⇨accelerator

accelerate+-er(or)を日本式に短縮しちゃったやつですね。
そもそも動詞がaccelerateなので、アクセルを名詞だと思って、英語っぽくいったところで通じません。acceleってあるのかしらとGoogle画像検索してみたら、ガンダムとAccele Electronicsという会社が主に引っかかりました。ということで言葉としてはなさそうです。辞書で調べてもなかった。残念!

元の単語は、「動詞+-する人・道具」という公式みたいなのを使ってます。カッター(cut•ter)・リーダー(lead•er)・リーダー(read•er)・ティーチャー(teach•er)といった感じ。ワーカー・メーカー・シンガー・ライターと、枚挙に暇がありません。言われてみれば、ってとこだとオーナーとかバイヤーとかでしょうか。後者に関しては転売ヤーって日本語と奇跡の合体をかましてしまっているから、そもそも転売屋をちょっと揶揄して呼んでるだけ、って思ってる人もいそうです。個人的には転売+buyerでうまいこと組み合わさったからヤーって伸びる音になったんかなーとか思ってる派です。

3つ目のrのリーダーに関しては「読む人;読者」とバーコードリーダーみたいに「読み込むもの」の両方がありますね。カタカナではLとRが合流してしまうこともあって、悲劇的曖昧さと言いたいところですが、erの意味に関して言えば、これはどちらも道具的に捉えているので本質は同じなんですよね。その動作をするなら人でも物でもいい、と。悪魔の実を物体に食べさせることもできる、みたいな話、でもないか。

ちなみに人を表すのはもう1つ-est/istがありますね。ピアニスト・バイオリニスト・ギタリスト、と、日本語では楽器系に浸透率が高いですが、フェミニストやジャーナリストもありますね。小難しいところだとconservationistとか?環境保護論者、です。conserve+tion+istって感じの組み合わせです。

・パンク⇨puncture

punctureの日本式略からできた和製英語ですね。英語ではパンクした状態のタイヤを表現するので、空気が抜けてフラット(平ら)になったタイヤ、と言う表現をします。パンクした後のタイヤの状態を示すんですね。

punctureは刺し傷のこと。google検索すると、タイヤに釘が刺さった画像のほか、人体に鋭いものが刺さった画像が出てきますので、検索はお勧めしません。でもpunctureのイメージは掴みやすくなります。ぺちゃんこになるのではなく、破裂してしまうタイプのタイヤの破損は、バースト(burst)です。

余談ですが、puncureにめっちゃ似た形容詞で、「punctual:時間通りの」という単語があります。タイヤのパンクと時間通りと言う意味の形容詞がなぜここまでそっくりなのか、私も考えたことがなかったのですが、今回のpunctureの意味をアップデートしたことによって繋がりました。

puncture:鋭いものが刺さる
punctual:時計の文字盤に針で刺したように、正確に時間を守る

鋭いもので何かを刺すイメージを、時計の針に置き換えていたんですね。いやはや、これだから言語は面白い。この記事を書いていて一番興奮した発見でした。

・エアコン⇨air conditioner, AC

これもアクセルと同じ日本式の略し方ですね。lazyAussieはACとさらに短くして呼ぶことが多いです。ケアンズではもっぱらcoolerと呼ばれますよ。なんでかって?heater要らずだからです。

まあこれは車に限った話でもありませんが。英語にも略し方はあるんですけど、air conとはなりにくいです。conから始まる単語多すぎ問題になっちゃうので。
air compresserもエアコンになっちゃうじゃないですか。空気プシューって高圧にして噴き出すやつ。

でも、逆に日本でACって言ったら後ろに「ジャパン」てつけたくなっちゃうので、あきらめましょう。この会社名は何の頭文字だかご存知ですか?
Advertising Council Japanです。これ書いてる時に調べました。知らなかった。だから大震災の時、こいつがずっと流れてたんですね。商業広告を流せないから。

頭文字で浸透してる車系の用語で言うと、以下の二つですね。
AT:automatic transmission
MT:Manual transmission

動力の切り替え(伝導)を自動(automatic)でしてくれるのか、それとも手動(manual)でするのか、と言う意味です。私はAT限定免許のレンタカースタッフ。

【文脈次第ではcould be】

さて、ここからはさも英語ですよ、と言わんばかりの文字面をしてるくせに実は和製英語、と言ううざいことこの上ない表現たちをご紹介していきます。英語の日本式合成によってできているので、文脈があればあるいは聡いネイティブなら理解してくれるかも、しれません。

・サイドブレーキ⇨hand brake

レンタカー屋でバイト始めるまで、私もこれが通じないとは思っていませんでした。でも、ちょっとキョトンとされます。少なくともオーストラリアでは、こいつらはhand brakeと呼ばれています。だから、と言うわけではないと思いますが、足元についてるタイプのサイドブレーキはあまり見かけません。サイドブレーキの場所を聞かれて、足元にあるよ〜と言ったら、hand brakeじゃないやん!って笑ってました。確かにこれじゃfoot brakeだね、でもそれだと普通のbrakeと区別つかないね!ってワハハって笑って大団円と相成りましたので、それ以降サイドブレーキも足もとにあるタイプの車を貸し出すときはほぼ必ず言及してひと笑い取るようになりました。

最近の日本車はサイドブレーキがサイドじゃなくて足元のタイプも多いですよね。まあ「on the side of accelerator」と言われればまあそうなんですけど。足元タイプが主流になったら、英語はどう変わるんでしょうね。だってhand使わないじゃないですか。

・バックミラー⇨reviewing mirror

小うるさいことを言うなら、backは名詞として使うと「腰まで含む背中(体の部位のback側全体)」になっちゃうし、とぐずぐず言えるのですが、単純にネイティブは「振り返る用のミラー」って言うんですね。日本ではもしかしたら、「バックするとき用のミラー」として名付けたつもりなのかもしれませんが、そもそも「バックする」が和製英語で、正しくはリバースなので、リバーシングミラーならまだ良かったのかもしれません。

・フロントガラス⇨front windscreen

窓ガラス全体をwindscreenと呼び、正面なのでfrontをつけてます。よく指紋が綺麗に落ちてなくてお局こと店長ママにお小言…ありがたいご指摘をいただくことがよくあります。

多分英語発音でだったらfront glassといっても通じる気はするんですが、日本語が場所と素材に言及しているのに対し、英語は素材ではなく用途を名称として使っていますね。風を防ぐもの、みたいな。カタカナでスクリーンというと、どうしてもプロジェクターや映画館のような「映し出すもの」がイメージされてしまうのですが、風を映す、と考えるとちょっと風情があって面白い命名ですね。そんなこともないか。

・ガソリン⇨petrol, gasoline

これは英語っぽく発音さえできれば別に通じます。特にアメリカではそのままgasolineと言ったりもするので。オーストラリアでは、gasと言う人もpetrolと言う人もいる印象です。でもpetrolの方が多いかな。辞書的には、「石油:petroleum」を精製したものをpetrolと呼ぶようです。

・オープンカー⇨convertible

これ、最初は和製英語なのかと思って次の章に入れてたんですが、よくよく調べたらちゃんと英語からの流入だったので章を移しました。

見出しだけ見ると似ても似つかないんですが、元々英語でもopen carと呼んでいたようなんです。当時の「オープンカー」は、本当にオープンしてる状態しかないカー、つまり、開閉式の屋根がまだなかった頃の、ガチもんのオープンカーでした。それが、「流石に雨とか槍とか降ってきた時に屋根がないのは不便すぎじゃね?」と言うことで、開閉式の屋根がついたんですね。そいつらの呼び名が、convertible。convertはパソコンで動画なんかをいじる人なら似た単語を見かけるかもしれません。コンバーター、変換器です。convertは、転換する、と言う意味。そう、オープンカーから通常の屋根付き車にconvertできる、だからconvertibleと呼ばれるようになったんですね。

また一つレンタカー屋がきっかけで雑学が増えてしまいました。うちの店にも2台ほどconvertibleがあります。4人乗りのmustangと、2人乗りのmazda。お高いですけど、天気の良い日にオープンカーにして海沿いや高原を走るには最高の2台です。

【座布団一枚】

日本人的安直さ、というか、面白い発想だなーと思う単語はなんだかんだこの2個でした。多分英語っぽく言っても通じない。

・ウインカー⇨indicator

indicate(指し示す)+-erとかの話じゃなく、日本のは完全に愛称です。
正面から見ると車の顔がウインクしてるように見えるからでしょうね。うちの母は、車種を顔の可愛さでしか認識しないので、そう言う人がこの名前をつけたんでしょう。ハスラーのことをうちの母は「オジー」と呼びます。なぜなら顔がおじさんっぽいから。ももクロがCMしてたりして、割と可愛いと思うんだけど。母にはまんまるお目目のカールおじさんにでも見えているようです。

wink+erと、erの使い方はバッチリあってるのに、組み合わせた単語が違う、と言う……。いや可愛いんだけどさ。

バイト中に日本語で接客してると、普段indicatorと英語では言ってるせいで、直訳が先に出てしまう謎の症状に苦しんでいます。
「この車はindica…方向指示器…ああウインカーが左側についてるので気をつけてくださいね」

・ハンドル⇨wheel, steering wheel

操縦するための車輪だから、操作する、と言う意味の動詞handleを使ったんでしょう。発想としては悪くないけど、残念!英語の名詞としてのhandleは、日本語にするなら「取手」と訳す方のものです。日本語でこの誤用が起こった背景には、もしかしたら、自転車のハンドルは英語でもhandle barなんて呼ぶからかもしれません。チャリのハンドルがhandleなら、車も操作するものとしては同じだし、ハンドルだろ!と。わからなくはない。

車の"ハンドル"は、英語ではなんとwheelを使うので、次の章でも少し取り上げます。

【大混乱不可避】

ここでご紹介するのは、「悪い夢なら醒めてくれ」と言いたくなるような混乱しか招かない大悟たちです。私だって英語でも通じると思ってたよこいつら、ってものもあります。

・ハンドル⇨wheel

1つ前の章でも紹介しましたね。wheelは、カタカナで言うと「ホイール」すなわち日本人にとってはタイヤの内側?シルバーの金属パーツのことを指す言葉になっています。

・ホイール⇨rim

じゃああの「ホイール」は英語で何て呼ぶんじゃ、というとこちら。自転車のリム転がしって聞いたことありませんか?あのパーツを棒で転がして遊ぶ遊び。

・トランク⇨trunk

これがね……アメリカ英語では上の通り、なんの問題もないんです。でも、私がワーホリをしているのはオーストラリア。語彙は基本的にイギリス準拠なんです。てことで、うちのレンタカー屋のローカル上司たちはbootと呼びます。

ちなみに、sedanタイプの車は、後部座席とトランクが完全に分離されていますよね。あれとは別に、後部座席とトランクが区切られていなくて、後部座席からトランクにあるものを取れるタイプの車のことは、なんと呼ぶかご存知ですか?hatchbackと言います。私のバイト先では同じ乗用車5人乗りでも、このハッチバック式の方がセダン式の車よりも日額$5ほどお安くなっています。誘拐しづらいからかな。いやレンタカーで誘拐を企てないでほしいな。

hatchbackとは、跳ね上げ式、と言う意味。戦車とか潜水艦の出入り口を「ハッチバック」って呼んでるのを聞いたことがある人もいるかもしれません。あれは全部、跳ね上げ式のドアだからだったんですね。

・バック⇨reverse

UNOで遊んだことある人ならご存知のリバースです。車のシフトにもRって書いてありますよね。こいつの頭文字ってわけです。
これもね、日本人の発想的にはわからなくもないんですが、シフトレバーにもRって書いてあるじゃん?なんで日本人はバックで浸透させちゃったんでしょうね??Bじゃんね、そしたら。

・高速道路⇨toll road

少なくともケアンズでは、High wayは無料だよ!と言うことで取り上げました。レンタカー屋のお客さんからも時折受ける質問だったので。ケアンズでのHigh wayは、単純にHigh SPEED wayです。制限速度が120km/hなんてところもたまにあります。シティから私の家までの道にも、100km道路が普通にあります。80km/hで走ってると遅いと言わんばかりにガンガン抜かされます。でもスピードカメラは割と多いので、制限速度超えて走ってるとすぐ罰金です。気をつけましょう。

【Googleパターン】

これは会社名がその会社を代表する製品で行える動作にまで一般化したパターンですね。最近ではカジュアルな会話なら英語でもgoogleを動詞として使います。I'll google it later.とか。日本の「ググれ」ほど攻撃的なニュアンスはなく、ただの「ネットで検索する」くらいの意味として使われています。

・クラクション⇨horn

何を隠そう、クラクションはklaxonと言う会社名から来ているようです。
英語ではhornと言って、元は角を意味する単語です。その角を加工すると、角笛になるので、そこから車のクラクションにも使えるように意味が拡張したのでしょう。語源を辿るとちょっとhornは古臭い、というかクラクションのほうが教養もあって知的に感じるのは私だけでしょうか。まあ通じなかったら意味ないんだけどさ。

Klaxonと言う単語についての説明はこちらを参考にしました。

https://www.etymonline.com/word/klaxon

【non-existence】

最後は、日本語には存在しない単語をサクッとご紹介して終わろうと思います。

・車両⇨vehicle
カタカナ語がないんですが、標識なんかでもよく使われてるのでご紹介しておきます。carより広い言葉です。発音は「vアコー」みたいな…?hは発音しません。小さめの駐車スペースなんかに、"Not for Large Vehicle"なんて看板が立ってたりします。

ついでに調べてみたら、「vehicular:乗り物の」なんて形容詞がありました。嫌な予感がして発音を見てみたら、
viːhíkjʊlɚ
h発音すんのかい!!

・UTE ute
上記のlarge vehivleにも分類されそうな車種がこのUTEです。オージーはもっぱら「ゆーt」って感じで発音します。一般乗用車とトラックのキメラだと勝手に呼んでます。これの荷台に大型のわんこたちを乗せてビーチに向かう地元民の姿もよく見かけます。


・環状交差点⇨roundabout

最後がオーストラリア名物と言っても過言ではない(?)環状交差点ですね。round+aboutと、かなり簡単な2単語で構成されているものの、その発音はリンキングして「ランダばうと」って感じに聞こえます。左回りのぐるぐるです。

【Postscript】

徒然なるままにって言っても限度があるだろ!と言われかねない適当さでお送りしてきました、車用語シリーズ。いかがでしたでしょうか。英語を真面目に勉強するのがちょっとバカらしくなりません?英語の歴史を紐解けば、これほどあちこちの言語と混ざって、しかもあちこちに流出している言語がないんだから、正確さにこだわるとバカを見るんです。だったら、突っ込んだり呆れたりキレたりしながら、面白がっていた方が面白いんじゃないでしょうか。

最後に、車絡みでみなさんに是非ともgoogleしてもらいたいものがあります。australia garbage truckとyoutubeで調べてみてください。オーストラリアが大好きになったきっかけの一つです。いまだにこいつらが見られた日はハッピーになるくらい好きです。

Thank you for reading,
Have a nice day!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?