見出し画像

”筆が止まるとき”を考える

突然の豪雨。次の打ち合わせまで喫茶店に逃げ込む。冷房が効いた室内で熱いコーヒーを飲みながら作業をする。目の前では若い男性二人が「マツコさんがさ……マツコさんが……」とひそひそ話をしている。もしかしたらテレビ局のADさんか芸人さんかもしれない。

シナリオを書いていて筆が止まることについて、現在進行形で筆が止まっている今この時間に考えてみる。昔は筆が止まると「あーあ、この世の終わりだな」と焦ってしまい、時間だけがだらだらと過ぎていた。でも最近は、筆が止まることにも冷静に向き合えるようになってきた。

私の場合、筆が止まる時は大概、”何かが分かっていない時”である。

たとえば1つ例に出してみる。
プロットで「ここで〇〇が✕✕する」と書いていて、「✕✕する」の書き方が分かっていない時がある。頭では映像になっていても、✕✕する時の動作や流れの具体的な書き方が分かっていないのだ。(『犯人がB太を誘拐して車で逃亡する』だと、誘拐までの事前準備、当日の動きなど、映像では見たことあるからプロットに書いたけど、シナリオは書き慣れていないから止まる……みたいなことがおきる。)

何が分かっていないのかを冷静に分析すると、いいことが色々ある。実は瑣末な事が分かっていないだけなのに、この世の終わりみたいな気分にならなくて済む。作品全体が上手くいっていないかのような気分になり、全然関係ない登場人物の葛藤を掘り下げようとして余計ドツボにはまる…みたいなことも避けられる。こういうのは調べたら即解決する。

もう1つは、”何がか上手くいっていない時”。このパターンで私がよくやってしまうのは、自分都合(ストーリー都合)でキャラクターを動かしている時。こういう時はとりあえず落ち着いて、どこから強引な展開になってしまっているか、遡って頭から確認していく。おかしくなったポイントが見つかったらそれ以降は一旦捨てて、もう一度心情が流れるように書き直していく。

ここまで書いてみて、今筆が止まっている作品はシンプルに集中力が切れてやる気がないだけだということに気付いた。とりあえずネットを遮断して、集中するところから始めないと……。