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なぜ”人望がない”と言われ続けた男は自民党総裁選で勝利できたのか?

過去最多9名の候補者で争われた自民党総裁選が終了した。結果は大方の予想を覆し、ベテラン議員の石破議員が勝利した。

石破さんといえば、長年にわたって自民党総裁選に参加し、そのたびに敗北を重ねてきた議員である。苦節12年、ついに目標であった自民党総裁の座を掴むこととなった。まさに悲願達成だ。

今回の選挙結果には正直驚かされた。下馬評では日本初の女性総理の座を狙う高市議員と、カリスマ性と若さで人気の小泉進次郎議員が有力だと感じていたからだ。高市議員は麻生議員、進次郎議員は菅議員、両者ともに総理大臣経験のある一大派閥を持ったキングメーカーの後ろ盾も得て、今回の総裁選へ向けて準備万端であった。

しかし、そんな2名の有力候補を『人望がない』『華がない』と言われて負け続けてきた石破議員が破ったのである。まさに想定外の結果であった。

今回の結果を受けて感心したのが、自民党の国民政党たる冷静な判断力だ

今回の総裁選はアメリカ大統領選挙のような直接国民が投票する選挙ではなく、投票によって選ばれた議員たちによる投票で決まる、間接的な選挙であった。にもかかわらず、今回の総裁選の結果はおそらく国民による直接選挙をした場合とほぼ同じ結果になったからである。

この国難の時代に女性の高市さんは不安。進次郎議員はさすがに若すぎて頼りがない。河野さんはなんだか怒鳴っているらしいし怖い。林さんや茂木さん、小林さんらは正直よく知らない。それなら経験も豊富なベテランの石破さんでいいんじゃないか?』

おそらく国民による直接投票で自民党総裁が選ばれたとしても、上記のような理由から石破さんが勝利していただろう。自民党の議員たちは見事なまでに民意をくみ上げたのである。おそらく野党ではこうはいかなかっただろう。

自民党には日本国民が何を望み、何を考えているのかを見抜くノウハウや経験値を党として保有しているのだ。良い悪いや思想ではなく、社会で暮らす投票者が何を求めているのかを読み切った今回の総裁選からは、伊達に何十年も与党を担ってきたわけではない自民党の底力を感じた。事実、石破総裁の国民の支持率は52%と過半数を超えている。

しかし、今回の結果にツイッターには阿鼻叫喚の声が広まった。なぜなら、石破議員の掲げる政策が株価にマイナスになるものが多かったからだ。せっかく日本の株価も好調なのに、こんな経済音痴を総裁に選出するなんて、自民党は終わっている。与党の座から落ちてもいいのか。そんな辛辣な批判の声がそこかしこから上がっているのだ。

とにかくネットでは不人気な石破さんであるが、筆者は断言したい。

石破さんは市井の人々にはそこまで嫌われていない。むしろ好感寄りのイメージを持っている人のほうが多い。

インターネットで政策談義をする政治オタクや、株式投資をしているトレーダーと違い、庶民は実は政策、マニフェストなどを見て候補者を選んでいる人は少ない。彼らはみな"人柄"や"器"を見て支持か不支持かを判断しているのである。

政策の良し悪しで選挙の勝ち負けが決まると思っている人々はあまりに"おぼこい"し、そうあるべきだと考えている人は傲慢である。日々の生活に追われている市井の人々には政策を吟味することに割くリソースは持っていないのだ。良い悪いの話ではなく、それが現実なのである。

そう考えれば、石破さんがなぜ国民から『別にこの人なら総理大臣に推してもいいよね』と思われている理由が見えてくるのである。

ツイッターの人々には見えていない、石破さんが国民から支持される理由は3つある。まず1つ目の最も大きな理由が......

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