昭和のタイムカプセル東京としんがりの大阪
東京の独り勝ちが止まらない。広大な関東平野に陣取り、政治と経済、人口全ての面において他の都道府県を圧倒しており、東京に収まりきらなくなった人々は神奈川、さいたま、千葉に溢れだし今や首都圏は日本全国の総人口の34.5%を占めるまでに膨張している。
街には若者が溢れ、公園には子供たちの声が響き渡り、商店街は活気づき高齢者たちも元気だ。超少子高齢化などどこ吹く風、東京の成長に陰りは見えない。
それもそのはず、超少子の影響で人口が急減する令和日本において、東京は昭和の高度経済成長期から変わらずにずっと人口が増加し続けているからだ。東京に産まれ東京で生活する人間にとっては、超少子化の影響で毎年60万人以上のペースで人口が減っていることなど理解不能であろう。鳥取県民の総人口を超える人間が日本から消えていっている時代に、この東京の一極集中度合いは異常である。しかもこの傾向は近年加速している。
東京へ移住するのは主に若年層~現役世代だ。彼らはより良い学歴や職歴、移住環境を求めて地方から東京へ上京する。ただでさえ少子化で若者が少ない地方では街からどんどん若者がいなくなり、仲間が減り寂れた地元に嫌気がさした若者が目にするのは、SNSでキラキラと輝く上京組の姿。残された若者たちもそれを見て地方を捨て東京へ流れる。
地方からどんどん若者が流入する東京では、ベビーブームで人口がどんどん増加していたころの昭和スタイルと何ら変わりがない商売が通用し、高度経済成長期から引き続き街はどんどん広がっていく。東京は終わらない昭和、昭和日本のタイムカプセルなのだ。東京に住めば超少子高齢化でお先真っ暗の日本でもまだ未来に夢を見ることができる。東南アジアにおけるシンガポールのように、東京首都圏とそれ以外の地域での格差は今後広がり続けるだろう。
人口増による経済成長を謳歌し肥大化する東京と、人口減によりやせ細っていく地方の問題に関しては何年も前から指摘され続けているが、政府は特に抜本的な手を打ってこなかった。政治家や経済界のトップはみな東京に住んでいるため地方の実情がイマイチ理解できていないのか、それとももはや手遅れだと諦めているのか、筆者は後者だと感じている。これだけ東京一極集中が続いてもなお、東京首都圏に資本を投下し開発を続ける姿勢は、国も暗に『生き残りたい地方の若者は、東京首都圏というノアの箱舟に乗れ!』と示している証拠であろう。選挙があるため大きな声で言うことはないが国はすでに地方のことは見捨てているのだ。
そんな東京独り勝ちの日本において、人口減少と東京一極集中により撤退戦を余儀なくされた地方都市、その負け戦の最前線、しんがりとして日夜奮闘を続けている都道府県がある。そう、我らが大阪である。
バブルの負の遺産である夢洲でのIRカジノ構想に始まり、全国的にも話題をさらった大阪都構想、梅田を中心とした大阪市内の再開発、観光都市としての世界への売り込みや海外資本の誘致、不気味なミャクミャクくんがイメージキャラクターの大阪万博など、近年はとにかくド派手は施策を撃ちまくっている。
採算性度外視の見た重視な施策ばかりの大阪に対し、他の都道府県の反応は冷ややかだ。しかし大阪産まれ大阪育ちの筆者には今の大阪はとても輝いて見える。何故か?大阪は絶望的な撤退戦のしんがり、先頭に立って何が何でも生き延びようと足掻いていることが伝わってくるからである。
大阪の派手だか中身の怪しい施策の数々の目的ははっきりしている。それは……
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