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恋愛サバンナ遺伝子淘汰論

恋愛サバンナ遺伝子淘汰論をご存じだろうか?恋愛サバンナ遺伝子淘汰論とは陰キャのトー横ツイッターでまことしやかに囁かれる『恋愛の難易度が上がり、親から優秀な遺伝子受け継いだルックスやコミュ力の高い若者たちしか結婚して子を残せない時代が始まっている』という恐ろしい新説である。

生まれた家の経済的豊かさが将来の学歴や年収に大きな影響を与えることは以前より広く認知されてきた。東大合格者の約4割が世帯年収1000万以上の家で育ったというデータはネットでも有名である。経済的に優れた家庭は子供の教育にお金をかけ、その子供たちは良い学歴と良い仕事を手にしてさらに自分たちの子供に同じことを繰り返す。それにより経済格差は広がり、格差の固定化を招いてしまう。

恋愛サバンナ遺伝子淘汰とは、経済的格差の固定化と同じことが恋愛や結婚の分野でもすでに発生している、という考え方なのである。その証拠にすでに街を歩く若いカップルや子供連れの夫婦はみな優れた外見と立派な体躯を持つコミュ力が高い男女ばかりであり、彼ら彼女らに手を引かれて歩く子供達も両親の言うことを聞く可愛くて利発な子供達しかいない、というのである。

高学歴な若者や優れたスポーツ選手のルーキーたち、彼らは昔と違い秀でた一芸だけでなく、ルックスやコミュ力も高い。それはすでに数世代前から恋愛サバンナにおける遺伝子淘汰が進み、その結果として令和日本の若者は頭脳や身体能力、コミュ力全てを兼ね備えた超人が増えているというのだ。恋愛至上主義による遺伝子淘汰が優れた遺伝子を持つ人間を偶然生み出している……恋愛サバンナ遺伝子淘汰論が真実だとすれば、遺伝子工学の力を用いることなく、人類はジーンリッチを生み出すことに成功したことになる

貧弱な遺伝子しか持たない人々は恋愛サバンナで淘汰されてしまい生涯結婚することが出来ず、優れた遺伝子を持つ上位層だけが自由恋愛という果実を得て、幸せな家庭を手に入れる。そして優れた遺伝子を受けついだ子供たちも同じことを繰り返す。遺伝子を残せる側と遺伝子を断種される側、SFディストピア作品のような世界へと令和日本は突き進んでいる。そこに救いはない……

ツイッターでは上記のような話題が大人気であり、それを目にした非モテの若い未婚男女の一部は『非モテの自分たち、始まる前から詰んでるじゃん。遺伝子残すのマジ無理諦めよ……』と絶望してしまっていることだろう。

そんな非モテの若者たちを自暴自棄にさせる恋愛サバンナ遺伝子淘汰論に対して言いたい。毎週末のようにアスレチック公園やショッピングモール、子供向けのキャラクターショーや遊具施設に通い、沢山の家族連れを見ている筆者は言いたい。不安になっている非モテの若い男女たちに言いたい。

いや、そんなわけないやろ。

結論から言ってしまうが、恋愛サバンナ遺伝子淘汰論は大袈裟に過ぎる理論であり明らかに現実に即していない部分がほとんどである。どこがどうおかしいのか、またそんなちょっと考えればアラだらけの恋愛サバンナ遺伝子淘汰論が陰キャのグリ下ツイッターでなぜ大人気なのか、それぞれについて筆者の意見を書いていこう。

まずはじめに恋愛の難易度が上がり遺伝的に恵まれた若者しか遺伝子を残せなくなっているため、10代以下の若者のルックス向上している、という意見であるが……

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