長すぎる人生のエンドロール
バブル崩壊後の負の遺産を背負った巨大な祟り神であるロスジェネ世代がアラフィフに突入し始めている。有効求人倍率が50%~70%という恐ろしい時代に新卒一括採用の現場に放り出された氷河期世代は、金の卵と言われ持て囃されたバブル世代とは比べ物にならない過酷な就職戦線にさらされ、多くのものがレールの上からはじき出されてしまった。
男性の年収は既婚率に強い相関性がある。金がない男は結婚できないのだ。女性の社会進出がこれだけ進んだ令和においても、数字は正直なもので依然として男には家計を支えるという強い規範が求められ続けている。
筆者の周りの既婚世帯でも夫が仕事に専念し年収が400万以上600万円以下、妻がメインで育児しつつパートで60~100万を稼ぐ、という世帯が圧倒的多数を占めている。就職で躓いてアラサー以降も年収400万以上が望めないフリーターや個人事業主になってしまったロスジェネ世代男子は、そのほとんどは未婚のままアラフィフに突入していく可能性が高い。
筆者の長い友人の中に就職活動で躓き20年以上フリーターとして働いている男性がいるが、年収は未だに300万円台に留まっている。東京など一部例外的な地域以外ではフリーターや個人事業主といった不安定な職種で年収400万円以上継続的に稼ぎ続けるとはほぼ不可能だ。
アラフィフとは45歳以上55歳未満を指す。人の人生は25歳ごろから徐々に見通しが立ち始め、アラサーになる頃にはおおよその大勢が決する。その頃から人生の結果発表が問答無用で開始され、アラフォー以降にはそれらの結果と向き合い清算していくタームが始まる。
そしてそれまでの人生と向き合い、様々な結果を受け入れることで人生のメインイベントは完遂される。人生50年時代であれば綺麗に幕が下りてお終いであるが、今は残念ながら医学の進歩した令和である。メインイベントは終わっても人生は終わってくれない。50歳以降は長い長い、あまりに長すぎる人生のエンドロールが開始されることとなる。
男性の平均寿命は約75歳、女性は85歳。中学校に入学したてのティーンエイジャーがアラフォーのオッサンオバサンになるまでと同じ期間を、日々衰えていく身体で過ごしていかなくてはならない。多くの人は孤独にそこまで耐性がない。家族を作れなかった50代のロスジェネたちが人生の後半戦を心身の健康を保ちながら独りで戦い抜くことは難しいだろう。
孤独なロスジェネ単身者に対し、若い世代の未婚者からは『同じ境遇の仲間が沢山いるんだから寂しくなんかないだろ?』『同性の未婚者どうして群れて暮らせばいいだけじゃん』という意見が多く見られた。しかし現実はそう甘くはない。それは何故か?
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