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フルタイム共働き夫婦は幸せな家庭を築けるのか?

ツイッターで今最も熱い話題なのが、ノーベル経済学賞を受賞したゴールディン博士による『男女賃金格差』の研究内容だ

ゴールディン教授の主張の中で最も注目を集めているのが、『男女の賃金格差は女性差別や家事育児の押しつけなどではなく、上昇婚を成し遂げ金銭的余裕を獲得した女性自身が、子供が生まれたことをきっかけに”ハードワーク”から下りることを望むため』という”賃金格差は女性自身の行動によってもたらされている”という結論である。

ノーベル賞を受賞した女性である博士が、従来のフェミニズムが掲げてきた『男性社会の圧力により女性は仕事から下りさせられてきた』『女性差別により不当に低い賃金で労働を押し付けられてきた』といった幻想を数字を元にぶった斬ったのだ。

さらにゴールディン教授は『ハードワークから下りた女性の分まで男性はこれまで以上に労働することを求められ子供との時間を失っている』と指摘し、女性にも安易に仕事から離れるのではなく、夫婦で仕事と育児を平等にシェアする道を探るべきだ、というところにまで踏み込んでいたのだ。

確かに少子高齢化社会により人手不足が深刻な令和日本において、結婚後も女性がフルタイム労働を続けてくれれば国としてはとても助かる。ゴールディン教授のフルタイム共働き推奨論は日本政府の方針とも合致しているだろう。年収130万円以下のパートor専業主婦向け制度である第3号被保険者制度の廃止議論などを見ればそれは明らかだ。

しかし、ゴールディン教授のフルタイム共働き推奨論には大きな問題点がある。それは博士自身も理解し指摘している。それが『夫婦の仕事内容によっては夫婦共働きしながら育児するのはめちゃキツイ』ということだ。ゴールディン博士も弁護士などの長時間労働が必要でかつ簡単に休めない仕事は、出産後にキャリアを継続することが困難であることに触れている。

筆者も以前の記事で、ハードワークをするバリキャリ夫婦が育児とキャリアの維持する大変さについて書いた。そこで解決策として挙げたのが最強の育児支援である”ジジババヘルプ”を駆使するこであった。しかし、残念ながらジジババヘルプを使えないバリキャリ夫婦も多い。

まず地方から上京してきた男女の核家族夫婦の場合、距離の問題からジジババヘルプを使うことは難しい。ジジババヘルプを有効活用できるのは地元で結婚した夫婦たちである。またアラフォーでの結婚となると、子供が産まれるころにはジジババはすでに後期高齢者だ。杖をつくジジババに育児を頼むことはジジババと子供両方を危険に晒してしまうことになるだろう。

結果として、ハードワークが必要な仕事に就く女性は、日本でも出産を機に仕事の第一線から身を引き、収入は大きく低下することになってしまうのだ。またそこまでハードワークではないにせよ、時短勤務が取れなかったりシフト勤務であったりする自由に休めない、早く帰れない仕事に就く女性たちも、フルタイム労働を続けることが出来ずに下りていく。

日本政府は何とか女性に出産後もフルタイム労働を続けてもらうため、育休中の手当受給額引き上げ、男性への育児休暇取得推奨、先ほど触れた3号被保険者制度の廃止など、飴と鞭の政策を打ち出している。

ここからはゴールディン教授のフルタイム共働き推奨論に関する感想や、日本政府による政策の効果がいかほどなのかについて、まさにフルタイム共働き世帯である筆者が自身の経験をもとに意見を述べていこうと思う。

まずはフルタイム共働き推奨論に対する結論から書こう。

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