見出し画像

コミュ障と体育会系縦社会

コミュニケーション能力は今や学力や身体能力、ルックス以上に世間で重要視される能力の一つになっている。

コミュニケーション能力とは『社会生活において、他者と円滑に意思の疎通が行える能力』のことを指す。

両親と良好な関係を築いたり、学校で友達や恋人を作ったり、面接を合格して就職したり、恋人を見つけて結婚して夫婦で育児をして……これらのライフステージ全てにおいてコミュニケーション能力が必要とされる。つまりコミュニケーション能力が低いと学生時代から社会人、親になって以降もずっと苦労しなければならなくなる、ということだ。SNSにはコミュニケーションがうまく取れないコミュ障たちの悲鳴が毎日のように書き込まれている。

そんなコミュ障たちの訴えに応えるべく、世間にはコミュニケーション能力を高める方法に関する情報が溢れている。ネットや書店ではコミュ力に関する情報が大人気だ。

しかしながら、コミュ力の上下強弱は遺伝的な要因や幼少期の環境といった初期ステータスとしてほぼ決まっており、物心ついてから純粋なコミュ力を高めることは困難なのだ。だからこそ、多くのコミュ障が悩み苦しむことになる。

そんな他者とのコミュニケーション能力に悩みを抱える男子にお勧めの解決方法がある。それが体育会系の縦社会コミュニケーション術をインストールすることだ。

体育会系縦社会とは学校の部活や会社組織に象徴されるような上下関係のグループのことである。一見コミュ障には厳しいように感じてしまうかもしれないが、実はコミュニケーション能力の低い人ほど体育会系縦社会のルールは都合がよくできている。

コミュ障にとっての最初のハードルは相手との距離感である。この人相手ならどのぐらい踏み込んだ会話をして良いのか?くだけた物言いをしても受け入れてくれる関係性はできているのか?まわりにいる人は自分をどのくらい親しみを持って見てくれているのか?他者との距離感を掴めない状態で無理くり会話をしようとすると、変にかしこまってしまったり逆に失礼な物言いをしてしまったりと関係がぎくしゃくしてしまうことが多い。

しかし体育会系縦社会ではそのような悲劇は起きることは少ない。何故なら年齢や”格”によって相手と自分の距離感があらかじめ決められているからだ。

先輩には敬い学ぶ対象であり、同期は仲間でありライバル、後輩は面倒を見て育てる存在。格上やいまいち距離感の測りかねている相手への接し方、同レベルの気を許せる仲間との接し方、面倒を見てあげないといけない部下や若手への接し方、それら全てを学ぶことが出来るのが体育会系縦社会の良いところである。

また体育会系グループでは全員が同じスポーツに取り組んでいるという共通の話題があるため、会話のネタに困ることがなくコミュニケーションのチュートリアルに最適なのだ。グループ全員に通じる話題があるので、何を話せばよいかわからず地蔵になったり、パニックになりおしゃべりスピーカーになって余計なことを言ってしまったり、笑い袋のようにとにかく笑って誤魔化すしかできない、といったコミュ障あるあるの事態に陥る心配がないのだ。

またやたらと挨拶や返事などのコミュニケーションの”型”に敏感なのもコミュ障にとってはありがたい話である。なぜなら挨拶や返事をしっかりするだけで『こいつはしっかりコミュニケーションが取れる真面目な奴だ』と一定の評価を受けられるからだ。そういったコミュニケーションによる成功体験をエネルギーに、コミュ障も前向きに仲間とコミュニケーションが取れるようになっていく。

以前に部活の有用性についての記事に書いたことがあるが、部活も体育会系縦社会のコミュニケーション術を学べる最もスタンダードな場所である。コミュ障の男子ほど部活で縦社会コミュニケーションガイドブックを手に入れてから社会に出たほうが良いだろう。

日本は生来のコミュ障が多い民族である。日本で欧米にないような強い縦社会が歴史の中で作り上げられたのは、多くのコミュ障たちにとって縦社会のしきたりがコミュニケーションを取るうえで都合がよかったからだ。体育会系縦社会の中ではほとんど頭を使わなくても型やしきたりさえ守っていればコミュニケーションを取ることができる。

コミュ障に体育会系縦社会なんて無理。コミュ障陰キャが体育会系の縦社会なんかに入ってもボコボコにされるだけ!』という意見がネットでは多い。

だがしかし、実はそれは誤りである。なぜなら……

ここから先は

1,652字

¥ 250

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が参加している募集

#部活の思い出

5,458件

サポート頂けるとnote更新の励みになります!いつもサポートしてくださっている皆様には大変感謝しています。頑張っていきますので、どうかよろしくお願いいたします!