#7 介護を手放す(2)~事前の備えは本当に役立つか?
世間では「親の介護に備えましょう!」「親が認知症になった時に困らない、今からできる対策!」なんていうけれど。急に親の認知症に向き合うことになった子供として、介護の備えについて思うことを綴ってみました。
● 役立ちそうな備え→「介護全般の情報」と「認知症についての知識」
シングルマザーとして子育てと仕事のバランスがようやく落ち着いてきた頃に、突如降りかかった介護問題。おそるおそる情報検索を始めます。
今、数年前の自分に伝えたいこととしては、
「介護全体について知っておくことはできた」ということです。
ビジネスケアラ―という言葉も、最近知りました。「仕事をしながら介護に家族などの介護に従事する人」をさす言葉のようです。経済産業省のサイトでも、ビジネスケアラー発生による経済損失が約9兆円!という数字も出ています。日本全体の予算が2023年度は、114.4兆円(財務省より)とのことなので、税収への影響も深刻な問題ですね。
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kaigo/kaigo.html
(1)介護全般の情報
読んでくださっている方がビジネスケアラ―であってもなくても、株式会社リクシスが運営している「ライフサポートナビ」は情報が充実しています。
また、同社の主催と思われる(詳しいことまでわからず、不正確でしたら申し訳ありません)「全国ビジネスケアラ―会議」もウェビナー動画が充実しており、備える教材としては十分そろっていると思います。
介護自体の方針を、親や家族の介護が始まる前には決めておくのは難しいにしても、介護の現状・実態や「もしかしたら降りかかるかもしれない」問題について少しでも知っておくことで、初動の段階でむやみに慌てなくて済むと思います。
※動画でクイックに見られたい方にはこちらもおすすめです。サムネイルは不安をあおる感じですが、内容は「あらかじめ知っておくこと」の大切さに触れられています。
(おまけ)
ちなみに、上記で引用した「ライフサポートナビ」のサイトに、”まずは介護についてどれくらい知識があるかをチェック”という項目があります。
このチェックリストを見ると、介護保険の申請を検討するタイミング、想像より早くないでしょうか?まずは検討だけでもしてみるのも良さそうです。
私は、介護全体の情報をもう少し調べておけばよかったです。
母の症状は少しずつ進行していったので、いつどこからを「介護」として考えるのかも正直なところよくわかっていなかったように思います。結果として、介護保険の申請も遅くなりましたし、自分が母のために割かなければならない時間だけが徐々に増えていき、苦しくなってしまいました。知識は助けになります!
(2)認知症についての知識
最近は、認知症についての書籍も充実していますね。母が認知症の入り口にいることがわかってから読んだ本をご紹介します。
認知症に関する書籍はたくさんありますので、「どんな症状があるのか」、「介護者はどんな事態に直面する可能性があるのか」「どんな接し方をすると良さそうか」といったことが書いてある本は、中古でもよいので1度ざっと読んでおかれることをお勧めします。
母の認知症が少し進行してしまってからは、接し方を工夫しても「本で読んだ通りにはいかない」ということも出てきましたが、少なくとも「認知症の人の気持ち」、「認知症の人へのNGワード」について知ることができたので、気を付けることはできました。
(1)認知症世界の歩き方
認知症の方の困りごとについて、イラスト付きで認知症の方の目線からわかりやすくまとめられています。認知症の方になりきるのは難しいにしても、想像してみるだけでも、介護する家族の接し方のヒントになる本です。
(2)マンガ 認知症
新書版で持ち歩きしやすいのがこちらの書籍。筆者のニコ・ニコルソンさんご自身のご家族の介護エピソードに基づきながら、実際に認知症介護で起きること、その対処の仕方や接し方について丁寧に書かれています。
私は、結果的に早めに認知症介護を手放すことにしましたが、認知症が進んでくると起こる可能性が高いことを知ることができたので、早めに手放すという選択につながったところも大きいです。
(3)ボクはやっと認知症のことがわかった
この本は、認知症検査のツールである「長谷川式認知症スケール」を開発された、長谷川先生のご著書です。医師として認知症患者を診られてきた先生が患者側になったことで見えてきた世界がつづられています。先生ご自身の素直な気持ちも書かれており、ジーンとくるものもありました。読みながら「母も、先生と同じように思っているのかもしれないな」と優しい気持ちになれた本です。
(4)脳科学者の母が、認知症になる
こちらは、脳科学者である著者が、お母様の認知症介護の経験を脳科学者としての視点も交えてまとめられた本です。長谷川先生のご著書もそうですが、視点を上げて客観的、俯瞰的に捉えることで、ご自身の気持ちと切り離しておられるところが良いなと思います。必死で周りが見えなくなりがちな介護者にとって大事なコツを教えてくれます。
(5)親の「なんか変」9選
書籍ではなくyoutubeですが、こちらの動画も分かりやすいです。親御さんの小さな手がかり、見逃さないでください。
長谷川先生のご著書もあります。
● 実際には役立ちにくい備え→「もし〜になったら○○する」という親の意思
一方、事前に備えていても実際には備えがあったとしても難しかったのが、親の意思に関わるものです。例えば、母は折に触れ、以下のような話をしてくれていました。
母自身が、義母の介護での苦労の記憶があり、親の介護は子供が引き受けないのが良い、という考えに至っていたようでした。子供の私としても、そのような考えを持ってくれていたことをありがたく思っていたものです。
その後、現実には正式に認知症の診断を受けるまでに至ったのですが、そもそも、母は自分が認知症であることを認めるのが難しい状態でした。
「私は自分のことは自分で全部できている(ほんのちょっとだけ、娘に手助けしてもらっているだけ)」と思っているようでした。
そのため、
とは当然ならなかったわけです。
なので、親の意思を事前に確認していたとしても、実際に認知症になってしまってからでは、「そのこと自体も忘れてしまう可能性もある」ということはしっかり念頭に置いておいた方がよさそうです。
ちなみに、元気なうちに「紙に書いて残しておく」という選択もありますが、「こんなの私書いたかしら。書いた記憶が全くないわ。あなたが書いたの?私は知らない」と言われる事象が、我が家で発生したことも追加で申し添えておきます。親の対策は現実には難しい!
次回は時間を巻き戻して、認知症を発症したかもしれない母を病院に連れていった際の話です。私のストレスが半端なかったので、今でも若干トラウマになっているところがあります。認知症とのお付き合いは難しいですね。ではまた。
#認知症介護
#ダブルケアラー
#介護を手放す
#ジブン株式会社マガジン
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?