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カウンセリングの対象者について
カウンセリングの対象者は、あくまでも第三者としてかかわれる他人に限られているのが原則だと習った。
50代になり、夫との間のかみ合わない会話が相手を苦しませているのではないかと悩んでいた私は、どうしても自分のことを診断してもらいたくて中学時代の友人A子が市立病院で精神科医をしていたのでカウンセリングをお願いした。
開口一番、彼女は「友達のことは診ない」と言った。そして「あなたは私やそのほかにも友人はいるし、子育ても無事終え、教会の仲間との付き合いもしている、だから大丈夫」と付け加えた。
そんなふうに断られ、患者としてみてはもらえないのかとガッカリした私はA子のことを恨みそうになった。いっそ絶交してしまおうかという気持ちもわいたが、思いとどまったのは彼女が誠実で優しいことをよく知っていたからだった。
カウンセリング講座を受講して最初の授業で「カウンセリングは身近な家族やよく知っている人のことはしない(できない)、まったく知らない人の話を他人事として冷静に聞けるかどうかが大事です」ということを習い、A子がなぜ私を診てくれなかったのかようやく理解できたような気がした。
中学時代、変なあだ名をつけられていじめられていた私をしっている彼女には、私の話を他人事として聞くことはできなかったのだろうと思う。
しかしまた、家族や身近な人のことはカウンセリングできないとしてもこの講座の授業を受けていくことによって自分の心が成熟していくと教えられ、ほっとした。相手の気持ちがわからないという特性を持った自分であっても、もしかすると森を出て二足歩行を始めた人類の前頭葉(抑制脳)の恩恵に預かることができるかもしれない。知性で感情をコントロールできたらうれしいし、そのためにはもっと人間についてたくさんのことを知りたいと思う。
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