USJ編(3)〜坩堝で融合〜
高速を降りる頃には、不明瞭で夜に溶けてた境界が、
夜に溶けてた自分の輪郭が、明確に分離していた。
月下の仄黒かった街の景色は、白夜のごとくその姿を群青色一色で染める。
朝と呼ぶにはあまりに蒼く、夜と呼ぶにはあまりに青い。
午前6時ごろ、USJに到着。
その頃には、地平の奥から漏れる光が、群青色の空を瞬く間に青白く染め直す。
やがて太陽は登る。
首尾良し、気味よし、天気よぉ〜し。
今、我々の前に高くそびえるUSJの門が白く輝きながら、その口を開く。
入園ゲートに鳴り響く♬『BACK TO THE FUTURE』♬
さあさ、BGMオンだぜ!(推奨)
耳から滔々と流れ込んでくるこのメロディー!
くぅぅ〜心躍るぅうう!!
メルティーメロディー脳みそ溶かす!とろけた脳が波を打つ。
波紋と波紋が干渉し増幅しながら波を打つ!!
目から耳から滔々と流れ込む、USJの素粒子が、浮世と私を切り離し、私のカラダと融合してゆく。
VRなんてここではいらない。
五感を澄ましてここに立つ、それだけでいい。
青過ぎて逆に黒い晴天の下、
ゲートの前にはもう、人がたんまり列を成している。
外国人観光客の多さよ。
私達の前には外国人の御一行。
その前も、その前も。
後ろに並んだのも外国人御一行様。
その後ろも、その後ろも。
てんきゅう、しぇいしぇい、だんけしぇーん。
めるすぃ、しゅくらん、ぐらあしあす。
飛び交う言語も多種他種乱舞、ボーダレスのシームレス。
人種の坩堝ここに極めり。
開園と同時に人々がアフリカ水牛の大群のように一斉に走り出す。
我々は『スーパー・ニンテンドー・ワールド』を目指して猛ダァッシュ!!
みんな福男の如き全力疾走!!
走る、
走る、
ぐんぐん走る、
斜めになってコーナリ〜ング!!
トンネル抜けるとそこはNINTENDO!!!!
しかし改めて、日本人の少な…いや、外国人の多いこと!右も左も後ろも前も、
モンゴロイドは多けれど、飛び交う言語は外国語。
しまいには日本語を聞くとビックリする始末。(本当に)
そういえば、学生時代にバイト先の蕎麦屋で。
常連さんお客さんお婆さん(©鹿子かこさん)との一コマ。
「あなた、日本語上手ね。私、こういう祖国を離れて必死に頑張ってる人見るともう涙が出ちゃうの!!」
しんみりとした声でゆっくり語りかけながら私の手をとる。
やりきれないという表情で私の目を見つめながらw
私も急にカタコトになりながら
「オバアサン…ヤサシイネ〜 ハヤク オカアサン ニ アイタイネ デモネ、オバアサン…ワタシィイ、ニホンジン ナンデスヨォ…ゴメンナサァイデスゥ」
「え?…えっえっえ?……またまたぁ〜冗談も上手ね。みんなが教えてくれたのね!ここのみんないい子達だし、日本イイトコだから!また来るから頑張ってね!」
バイトのみんなは満面の笑みで
「半年でこんだけ喋れるんだから凄いよ、ドンくん!」
「ドン君!今月の給料で自転車買うんだよな!」
⁉︎…くっおまえ達……誰だよドン君ってww俺のことですね……そうですか…よかろう!!
「…………アリガトゴジャマシタァ!!ワタシ ガンバルデスゥ!!!」
複雑な感情が渦巻く中、私は出稼ぎ労働者になりきった。
哀しい思い出はさておき、
マリオカート〜クッパの挑戦状〜へ。
『マリオカート』を終えたらその足で
『ヨッシーアドベンチャー』
そして「ハリーポッター」ボグワーツ城へ
つづく。
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