見出し画像

原点回帰の小樽旅

専門学校時代に札幌に出てきて早くも10年になるが、
私の生まれ故郷は小樽だ。
小樽の、海と山に囲まれた霧の深い地域で20年生きた。
生家から10分もせず歩けば海が見える……と知ったのはつい最近のことで、Google mapを見てたら
「あれ……道が海岸まで続いてる……山道も100メートルも無さそう、もしかして行けるんじゃ……?」

それを親に打ち明けたら

「言ってなかったかもしれないねえ、海があるなんて知ったら子ども同士で遊びに行っちゃうでしょ。あの海は断崖絶壁だから自殺スポットなんだよ」

なるほど…。

ということで一念発起して、20年見ずに、知らずに、過ごしていた本当の故郷の海を見た。
妙に目に馴染むというか、旅行先で見る他人行儀な海とは違い、なんだかすんなりと染みるようだった。
この土地はだからこんなに風が強くて霧が深くて過酷な気候だったのだと分かった。
ずっとこうして生きていたから、私は海が好きなのかもしれないと思った。

原点回帰。

そんで小樽まで来たので、黄昏るのもほどほどにあとは美味いもの食べて帰りますよ。
半分そっち目的で帰ってきましたからね。

中華食堂 桂苑(けいえん)

小樽のB級グルメ、あんかけ焼きそばが美味しいお店として一躍有名になった町中華。
私が住んでいた頃は、観光客が訪れるような店ではなかった。おっちゃんとバイトの子が2人で回し、無愛想に皿をトンと置いて行くような、地元民が「今日晩ご飯あそこで食べてこ」とふっと思い立つようなそんな店だった。
今じゃ行列が絶えず、知らない人と相席は当たり前。

ワンタンメンがあるのがレトロでうれしい。
醤油ラーメン(通常)


まぁ頼むのはあんかけ焼きそばでもワンタンメンでもなく、このなんの変哲もないスタンダードな醤油ラーメンなのですが!
チャーシューの代わりに豚バラ肉、もやしとキャベツと玉ねぎの野菜炒めは甘みが出ていて、その甘みが飾り気のないスープのしょっぱさに絶妙に合う。
中華鍋でしか出せない炒め物の香りもたまらない。
麺は少し細めのちぢれ。
今どきのラーメンのようにどでかい具が乗っているとか、変わり種とか、そんなのではない、本当に古くから親しまれてきた昔風ラーメン
私はずっとこれが好きだったのだ。


続いてパーラー美園へ。
北海道最古のアイスクリーム屋として大正8年に創業、以来北海道のレトロ喫茶の先駆けとして君臨。
名物はプリンパフェらしいのですが、メニュー表にはなく……すでに販売終了……?

ということで、開店以来のロングセラーメニュー、モカソフトをひとつ。
コーヒーフロートにも似て、しゃりしゃりのモカ氷の上にソフトクリームが乗っている。
ソフトクリームはさっぱり風味で、口の中で瞬時にしゅわっと溶ける口当たりの良さ。
ラーメンを食べた後のこってりした舌にはぴったりのクールダウンだ。

都通りを望みながらパフェを食べられる。


焼きそば並盛り 350円。

小樽の最強B級グルメ「どんど」の焼きそば。
駅前にある長崎屋の地下食品売り場の片隅に店を構えて、もう数十年……?
私の親が学生だった頃からある上に、当時は100円だか200円だかだったとか。
薄味のみ付いていて、卓上のソースや酢でお好みの味を付ける。紅生姜も乗せ放題。飾らないシンプルな味だけど、家庭で作る焼きそばとは一味違う。
お祭りの屋台に近いかな。やはり鉄板か。

そのまま小樽駅に行けば良かったのだけど、
私の大好きでマブダチなあまとうに寄らずして帰るのはやはり後ろ髪が引かれる思いだったので、都通りの端まで戻り、テイクアウトでケーキを買った。
モンブラン(写真手前)、モンブランとは銘打つがあまとうのモンブランは栗ではなく、ココアスポンジにクリームの白いケーキ。語源である「モンブラン=白い山」に謎に忠実なネーミング。
代わりに栗成分は、マロンショート(写真奥)で担った。こちらは形こそショートケーキだけど、モンブランクリームと栗で正真正銘モンブラン。

気になっている店も懐かしい店もまだまだあるし、定期的に行きたいな。今は有休が無く遠出の旅行の計画も建てられない分特に。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?