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粘土層としてのコーヒーパウンドケーキ

普段コーヒーはまったく飲まないけれど、コーヒー味のお菓子は好き。
ということで、コーヒーパウンドケーキを作ってみた。

柔らかくしたバターに砂糖を混ぜてふわっとするまで混ぜる。という作業がまあしんどい。この一か月くらい思い立ってお菓子をあれこれ作っているのだが、いちばん嫌な作業だなと思ってる。我が家には電動の泡だて器などないうえ、普通の泡だて器だと間に挟まって混ぜられないため、ゴムベラでひたすらねちねち混ぜていく。ふわっとなるにはバウンドさせながら手早くまんべんなく混ぜねばならぬとの危機感から必死に手を動かすのだが、脂肪しかついていない右腕には過酷な作業すぎて、すぐに悲鳴を上げる。泣き喚く声を無視してひたすら混ぜて混ぜて、やっと少しそれっぽくなったところでギブアップ。もうしばらくやれば焼き上がりに良い影響を与えるのだろうなと思いつつ、諦めの早いのがいいところと誤魔化しながら次の工程へ。

とはいえ次の工程もあまり好きではない。何せ卵とバターがとかく分離したがるのだ。最初のうちこそ慎重に少しずつ温めた溶き卵を加え、分離しないように手早く素早く混ぜていくのだが、次第に面倒になってきて、残った卵をえいやっとまとめて投入してしまう。で、お約束どおり分離しはじめるのだ。温かいお湯を入れたボールを下に重ねて、温めながら混ぜると分離状態から解放されるのだが、それをするとせっかくふわっとさせたのがだいたい台無しになる。じゃあここからまたふわっとさせればよいではないかと思うところだが、めんどくさいんだな。お手本のようにふわっとさせるには修業と気合が足りない。

小麦粉とアーモンドパウダー、ベーキングパウダーを入れて混ぜるのは好きだ。ざっくり混ぜろと指示があるからだ。たくさん混ぜてはいけない。グルテンが出ると膨らまなくなるから、とにかく最小限の混ぜ方を強いられる。普段なにかを強制されるのは嫌いだが、この指示は大好きなのだ。おっしゃるとおりざっくり混ぜる。ちょっとダマが残ってる感じはするが、指示に従わねばならぬので無視する。

仕上げに入れるのは牛乳で溶いたインスタントコーヒー。貰い物が家にあると思ったらなんと2gのスティックが1本しかなく、とうてい足りないのであわててコンビニに買いに行く。小さい瓶で購入したけど、私だけでなく家族もコーヒーを飲まないのであとの使い道に困るなあ。というのはさておき、よく混ぜてどろどろになったのを生地に投入。そしてまたざっくり混ぜる。ざっくり。いい響きだ。

あとはもうオーブンレンジにお任せ。40分後に出してみたら(たぶん)ちゃんと焼けてたので、熱いうちに砂糖水で保湿する。刷毛で塗りたくれたら便利なんだけど、あいにく我が家の刷毛はお好み焼き専用でソースの匂いがついてしまいそうだったので、スプーンの裏でぺたぺた塗り付ける。途中でめんどうくさくなってざぶんと振りかけちゃったけど、ま、大丈夫でしょ。

そのまま冷まして上にアイシングをかけるのだが、ここで大失敗。コーヒーを先に熱湯で溶かして、そこに粉糖を混ぜるはずが、先にコーヒーと粉糖を混ぜてしまった。まあいいやと熱湯をかけたつもりが、ぬるま湯だった。温めようとレンチンするもしすぎて砂糖がざらつく。無理にかけようと絞り器に入れたら袋が破れざらついたアイシングがダバッと落ちる。開き直ってスプーンで塗ろうとするもざらざらになりすぎて広がらない。もういいやと手で塗り固めたところ、堂々たる粘土の塊が出来上がった。

上に見えるのが粘土層です。下は砂礫層。

レシピの煽り文句は「生地のおいしさで勝負!」だからアイシングの大失敗くらい大丈夫なはず。冷蔵庫で熟成されるのを待ちます。

なおレシピはこちら。こうなるはずだったやつ。美しい。


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