泥酔したおじさんを救った話 パート2
自分馬鹿だなー、と思うことがちょくちょくある。
自虐っぽく見えるが、まぁこれはこれでいいかーと思ってしまう。
取返しのつかないことになったり、誰かを傷つけたりはしなければ、別によいのではないだろうか。
最近あった「馬鹿だったわ」と思ったこと。
出張先で酔いつぶれた知り合いを、きちんとホテルまで連れて行ってあげたこと。
我ながら馬鹿だけど、でもなんて自分は優しいのだろうと涙が出てくる。(嘘です)
出張先に宿泊する際はホテルが徒歩で帰れる距離にあり(というかそういうホテルを取る)、東京のように終電を気にしなくていいので、ついつい何件か行ってしまう。
先日は関連会社の人たちと飲んで、日本酒なんてもう水のようにがぶがぶ飲んで、はしゃいで(?)、気づけばもう2時で眠すぎたし、というか異常な時間だし、あとは飲みすぎて起き上がれない人も出てきたので解散した。
ホテルに戻り、寝る準備をしようと思った所、持ってきたはずのクレンジングを紛失したことに気が付く。
絶対に化粧は落として寝たい。絶対次の日に持ち越さない。をポリシーとして生きているので、迷わず近くのコンビニに向かった。
そしてコンビニでクレンジングを買って帰る時、
30メートル先に横たわっている人間がいた。歩道の真ん中に。
なお、2時半ぐらいなのでもう周りには誰もいない。
え?うーんあれはもしや・・・と思い、近づいてみると・・・
ああ、やっぱり、さっきまで一緒に飲んでいた○○さん(男)だ。
いやーー道で寝るなよ。。ありえんわ。。
PCが入っているであろう鞄はそこらに投げ捨て、社用携帯もほっぽり出してるし、とてもIT会社歴20年の人間とは思えない。
確かにお店出た後の帰り道、かなり千鳥足になっていたので危ないなーと思っていた。
ただこの人は正直お酒があまり強くないので、少し飲みすぎるだけでべろべろに泥酔してしまうのだ。
だからいつも通りといえばいつも通りなのだが、さすがに道で寝るとは思わなかった。
ドン引きだけどおもろいし、記念に記録撮っておこう。
そこで遠目から仰向けに横たわっている人間の写真を撮り、立ち去ろうとした。
声かけてはいけない、あの状態のあの人に絡んだら絶対やばい。
そう直感が言っていた。
ただ、一度ホテル側に向かった私は数秒考えた後に、結局その人のいるもとに戻っていた。足が勝手に。
なぜかほっとけなかったのである。
この人は他社の人だけど、とある仕事を一緒にさせてもらっており、日常的によくお世話になっている。
自分の利益にならなくても「グループとしてお客さんに貢献できればよくない?」という思考の持ち主で、私の至らない点も綿密にサポートしてくれる、今時珍しいタイプの熱意ある営業さんである。
良くしゃべるからまじでうるさいけど。お酒飲むと最悪だけど。
でも多分、普段苦労してるんだろうなぁと思う。
本当に相手のためを思ってはっきり言ってくれる人は、残念ながらその分人と対立することもそれなりに発生するので、素直な人を好むマネージャー層とかからは好かれない。
代わりに癖強系からは大人気だが。
ただそういう苦労を、基本的に周りには見せないタイプなのだと思う。
だからまぁ、ストレス抱えてるんだよね。
だから、つい道で寝ちゃうこともあるよね。
・・・な訳ねーだろなんなんこのおっさん。
てかこの人がPCとかスマホとか盗まれたらうちの会社のデータも流出するんですけど?は?
絶対阻止なんだが??
段々怒りが湧いてきて(怒りっぽい性格なのは反省)、とりあえずその人を全力でゆさゆさして起こしにかかった。
「ちょっと○○さん!!ここで寝ないで(怒)起きてください(怒)」
全然起きない。でも諦めない。
5分ぐらい全力で揺さぶりながら声をかけ続けた所、ようやく「んんん」と言いながら起きてくれた。
泥酔の極みだったその人は、案の定ヤバかった。
普段、「やばい」を「ヤバい」とわざわざ書かないけど、これは「ヤバい」だった。
私じゃなければ、常人であれば発狂していると思う。
かくかくしかじかあり、どうにかその人(180センチ以上ある)を引きずってホテルまで送り届けた。
てかホテル遠かった。なんでこんな駅から歩く所にしたん??馬鹿なのか???
でも、送り届けた時の達成感はすごかった。ここには書けないぐらい大変だったから。
小さいことだけど、一人の人間と会社を救った気がする。
そして届けた後は、誰もいない道を一人戻ったのだった。
(で、また気づけば4時前になっていた。なんで?)
なんというかここ数年での様々な経験を通して、自分自身、寛容な心が身についたと思う。
実は短気なので一人だとすぐ怒るけど、普段の関係が築けている人であれば、なんだかんだその人の失態を許してしまうことは結構ある。
「○らたは甘い」と周りに言われても仕方ない。あまり後悔したこともない。
それが「私、馬鹿だなー」と思うことの一つなのである。
なお、私のおかげで無事ホテルに行けた(はず)あの人は、そんな私の心配りなど知る由もなく、
今日も道のど真ん中で寝ているかもしれない。
悲しいが、容易に想像できてしまう。
別にあんなの多分日常茶飯事なのだろうし、放置してもよかったのだ。
次は同じことがまたあっても無視しよう。
一瞬そう思うけど、同じ事態が発生した時は、結局私はまたその人を助けてしまうのだろう。
ああもう、馬鹿だな~と思うことを、懲りもなく繰り返す。
でもそれでいいし、それがいいのだ。
なんだかんだで、日々感謝の連続なのである。