読書日記102「校閲ガール ア・ラ・モード」-宮木あや子
初巻で主人公だった悦子ではなく、悦子の周りの人々が少しずつ描かれていた。
一番印象に残った人物は、米岡がストーリーテラーとなっている章で少しだけ登場する米岡の兄だった。心の性別が女性でも男性でもない弟に対して、嫌な思いをして苦しむことになるからと編集者にはならない方が良いとアドバイスをする。編集者に憧れ続けてきた弟に嫌われるリスクも、弟の進路に対し影響を与えてしまうことも覚悟した上でのアドバイスなのだと思う。自分は人に影響を及ぼすことを怖いと思ってしまうので、自分に直接関係のない場面で人のためにリスクを取れる人は強いなと思う。また、一度は反発するもそれを素直に受け入れられる米岡もまた強い人なのだと思う。
この巻では、今まで読者が悦子を通して知り得なかった人物の様子が少しずつ本人の目線で分かるようになっているが、悦子目線で見た場合と大きな差がない。間接的に悦子の真っ直ぐに人を見る姿勢があらわれているように思われた。
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