読書日記79「人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした」ー大木亜希子


著者のことを最初に知ったのはネットニュースだった。48グループの卒業生の中にそんなぶっ飛んだ選択をする人がいるんだと思いながらざっと記事を読んだくらいだった。しばらくして、変わった経験をした人の本を読みたいと思っていた時にこの本のことを思い出し、読むことにした。ネットニュースなんて、役に立たない記事ばかりついつい読んでしまうのにたまには役に立つこともあるものだ。

読んでいて1番驚いたのは著者の同居人となるササポンが著者にほとんど干渉ないことだった。ここまで干渉せずに同居生活を進めることが出来るのが不思議な感じがした。でも、だからと言って無関心な訳では無い。体調を崩した時には著者が断ったのにも関わらず必要なものを買ってきてあげるし、フリーランスのライターである著者が変な人に絡まれた時は自分をマネージャーということにして良いと言う。必要な時は助けをくれる人物だ。「何を言うかでなく、何を言わないかが大事」とか、「そっとしておく優しさ」という言葉の意味が深く理解出来た気がした。

また、著者が通っていた心療内科の先生の言葉も印象的だった。

「無理をして自分の『心の財産』を消耗し、本来の魅力を失うよりも、そのときは結果を出せなくても、何もしないほうがあとから考えると遥かに良い」

最近の自分は未来の自分を犠牲にしていないかという視点は以前よりも持てるようになった。でも、やっぱり何かをしていないと不安になってしまうところがある。長期的な視点で「何もしないこと」を自ら選択しているのであれば、その自分をこれからはもう少し肯定していきたいと思った。

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