不朽の名曲ってこういうものか

私が朝の目覚ましに使っている音楽はマーラー5番のアダージェット。この曲は何度聴いても悲痛が胸に広がる。それも、マーラーを聴くときにしか体験できない特異な悲痛。

この曲を目覚ましに設定しているのは毎朝そういった悲痛を感じたいからではなく、単純に導入の旋律が優しく徐々に音楽が高揚していくため、寝起きに丁度いいからだ。

ただ難点がある。寝起きは本当に辛いので、この曲が嫌いになってしまうというリスクは常にある。たしかに、少なからず「マーラー5番アダージェット=厳しい寝起きの合図」の等式は成り立ってしまっている。

ただ、久々にこの5番を通しで聴いてみると、この等式は忽ち不等式に変化した。偉大な曲が与える印象というのは些細なことで変わったりしない。クラシック音楽が時空を超えて絶えず聴かれ続けている理由を今更言うまでもない。

※ちなみに先日、「水曜日のダウンタウン」というバラエティ番組でまさかのマーラー1番がBGMとして使われていてかなり驚いた。この曲が笑いの目的に使われようと、本来持っているはずの普遍的な偉大さは変わらない。

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