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006|冷やし中華の思い出

10年ほど前まで、祖父母は食堂を営んでいた。
そば処、という看板を掲げていたが、そばだけでなくラーメンやカツ丼も出していたし、ラーメンが一番人気だったんじゃないかな。

有名店ではないけれど、近所に住んでいる人、役場で働いている人、私の通っていた高校の先生や事務さんなど常連がたくさんいた。
授業中に、学校の敷地内を祖父の出前バイクが通るのをよく見たものだ。

夏限定で、冷やし中華が登場した。
ここの冷やし中華には、必ずメロンが乗っている。
キュウリや錦糸卵と並んで、ドーンと。
トッピングというよりは、デザート的な存在だと思う。

タレが付いちゃって、あまじょっぱくなっちゃったあのメロンがこどもの私や妹、いとこたちには特別だった。

祖父が亡くなって最初の夏。
「冷やし中華、始めました」看板を見てふと思い出したこと。

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