幾何の自作問題 5 選!

こんにちは. pomodor_ap です. 

これは仮の人さん主催のアドベントカレンダー,AMathC2023 の記事です. 

今回の記事では過去の自作問題のなかで,気に入っている 5 問について,それを作ったきっかけなどを紹介します. 

拙い文章ですが読んでいただけると嬉しいです…

1 : PGC001 問 14

問題

条件・解法ともにとてもシンプルな問題です. PGC(自作の幾何コンテスト)001 で出題しました. 

以下解説とネタバレです. 





解説

私の自作問題はステップが重いものが多いですが,この問題はかなりの一発ゲーです. この問題は適当に紙に図を描いてみたら,運良く生えました. 角度追跡をしていて,「外心を取ったら共円が作れるな」と思って取ってみたらとてもいい感じになりました. これまでの作問の中で最も作っていて "爽快感" が高かったのはこの問題かもしれません. 


ちなみにこの問題,もとは 400 点想定で 4b の F くらいに置こうとしていました. 怪しい気配がしてきたので幾何コンに放流しましたが… 一発ゲーや特殊な解法をする問題は,難易度感がわかりづらく難しいです. 



2 : PGC003 - D 

問題

(正しくは (a-√b)/c です. ごめんなさい…)

わずかに計算量が多く申し訳ないですが,構図に対してかなり非自明な結果が出てきて作っていて面白かったです. 

自作幾何コンテスト(PGC)003 で出題いたしました. 

以下解説とネタバレです. 





解説

「AH と三角形 ABC の外接円の交点を D とすると,H と D が BC について対称であるので,BC 上に点 X をとると XH=XD となる」ということをうまく使ってみたいと思って考えました. 


OMC139D や OMC116E などが好きで,シンプルな問題文にしたかったので「正三角形」としてみると,うまくいって嬉しかったです. (問題文のシンプルさだと,この問題が一番気に入ってるかもしれません. 現在でも作問するとき,この問題のような見た目のものが作りたいと思うことがよくあります. なかなか作れませんが…)


∠HAO=30° の部分が好きですが,それ以降の合同とかの部分も割と気に入っています.


3 : PGC002 - F

問題

この問題も気に入っています. 自作幾何コンテスト(PGC)002 で出題いたしました. 以下解説とネタバレです. 





解説

非自明な補助線や高度な知識はほぼ使いませんが,angle-chase やそれによる相似・共線のみでかなり難しくなっています. 



構図は最初適当に描いて,それを育てました. やや IMO 2007 P2 に似ているような気がします. これを作問した数日前に解いていた(解けなかった. 後日解き直したらなぜかすぐ解けた. )ので,意識しなくとも似てしまったようです. いろいろ考察してみて, ∠ABC: ∠CED=2:1 は最初入れていなく,BA=BD=BF を与えたくて入れました. それ以降は相似祭りだったので,適当に数値を入れてみるとかなり綺麗に求まり嬉しかったです. 


4 : コンテストには出していない自作問題

問題

難易度は 700~800 程度だと思います. 

OMC に出そうかなと思いましたが,しばらく前に少し似た考え方をする問題を出していたので Twitter に放流しました. (今見てみるとそこまで似てない気もするので OMC に出した方が良かったかも)

以下解説とネタバレです. 





解説


HI//BC という構図を使った問題は作りたいとは思っていましたが,なかなかいい使い方が思いつかなかったので一旦寝かせていました. 


本選系の証明問題で,三角形 ABC の垂心を H として,AH を直径とする円と三角形 ABC の外接円の交点(ミケル点)を使う問題をよく見かけていたので,ある日「三角形 ABC の内心を I として,AI を直径とする円と三角形 ABC の外接円の交点を取るとどうなるんだろう」と思い,考察してみました. [ちなみにこの構図もたま〜に出てきます(なんなら船旅 2.39 がまるまるこの構図です)が,当時は私の演習不足が大きく,見たことがありませんでした. ]


すると,さまざまな性質が見つかります. この交点を Q,内接円と BC の接点を D とすると ∠BQD= ∠CQD になったり(演習 : なぜ?),さらに外心を O,混線内接円と外接円の接点を T とすると AT, IO, QD が一点で交わったり(演習 : なぜ?),面白い性質のオンパレードでした. 


いまここで,HI//BC は ∠AHI=90° と同値なので,A, Q, H, I が共円になるからこの構図にぴったりだということに気付きました. 相似をうまく使いたかったので,(内接円と CA,AB の接点を E,F とするとき) QFE と QBC の相似に注目して作り上げました. 


HM=17 というやや不気味な条件はありながらも,これだけシンプルな中で面白い難問が作れたのはかなり嬉しかったです. 


5 : OMC180 - F

問題

OMC180F. 4e のボス問にもなった、お気に入りの問題です. 自作問題のなかでおそらく一番気に入っています. 

以下解説とネタバレです. 



解説はこちらから!

円の交点を考える反転の問題が作りたく,そこで円 HBC を √AH×AD の円で反転すると九点円に移ることに気づいたので,HBC と何かの円の交点を考えてみることにしました. 

そこでいろいろと考えているうちに,円 EGH が使えそうだなと思ったのでやってみました. 


しばらく考察していると,XPZ 共線に気づいたので,良問の予感がしてきてそのまま考察します. 

条件を入れてもなかなかいい感じにならないので angle-chase をしてみると AHC と ZTC の合同に気付きました. この合同を見つけたときは本当に嬉しかったです. 


提出時は「800 くらいあるのかなー」と思いながらも,Admin's Point < Point だと少し恥ずかしいので 700 で出してました. 

(それにしても,この問題の FA が 31 分で出たときは本当にびっくりしました…)


今回紹介する問題は以上です. 書くのをサボっていて時間がなかったため,あまり多くは紹介できませんでしたが,もしかしたらいつか書き足すかもしれません. 


幾何以外の分野や証明問題では、まだ納得のいく問題をあまり多く作れていないので(幾何以外だと OMC125E・176E と ΠMC001-G, 証明問題だと先日の幾何コンテストの 3 くらい…?)頑張りたいです. 


読んでくださった方,解いてくださった方は本当にありがとうございました.

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