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Hello Bee根津

Hello Bee

2023.10.30
小野まりえ



 Hello Bee根津について、結成半年となる2023年10月に今一度考証しようと思い、このレポートを作成した。
このレポートは、私自身の考察および見解に基づいている。


 Hello Beeは2023年4月に正式に拠点をもち、学生中心のコレクティブとして活動を開始した。初期メンバーは藝大油画科所属坂下剣盟、岡田デレー、葉子、藝大建築科所属中田てるみつ、多摩美油画科所属小野まりえ、そしてアーティストの髙木彩圭の6名であった。代表は坂下剣盟(借主)、会計小野まりえ、建築中田てる、書類作成葉子、総括髙木彩圭、HelloBee命名岡田デレーという役割をもち始動した。
 場所は東京都台東区池之端2丁目6-12に位置している。初期家賃費用が高額であったため、一時的に渡辺歯科医院院長の渡辺氏から借用した。
 定期的に行われる根津地域の清掃ボランティアにも坂下をはじめとし参加できるメンバーが参加し、地域と関わる。

 4月から、Hello Beeはアトリエ・展覧会の会場として使用し、有料貸し出しを行うと同時に、飲み会イベントを企画してカンパを募り、運営資金を調達した。

 以下これ迄の展覧会イベントの記録経歴。

2023年4月16日 openingイベント
2023年4月25日〜4月29日『see more fools』Hello Bee運営メンバー展
2023年5月3日〜5月15日  『(メ)ズム』小野企画
2023年6月18日〜6月30日『100年後、もう居ない人へ。』小野企画
2023年7月1日 美大生蜂球 12時間配信イベント
2023年7月15日 沢山ゼミ 第1回
2023年8月1日〜8月13日『owned origin』学生企画
2023年8月16日〜8月22日『現代アートからのリハビリテーション'23』学生企画
2023年8月19日 ゼミ 閉館後のマティス展 
2023年8月25日〜8月31日『NeZoo』学生企画
2023年8月〜9月頃 金曜会開始 毎週金曜日にHello Beeで勉強会
2023年9月3日〜9月10日 『when the shape of______ gets focused…』学生企画
2023年9月18日〜9月29日『神保惇 空の壺』
2023年10月  雑誌MEN'S NON-NO2023年11月号 掲載
2023年10月22日〜10月28日『[ SynaとPuとSu ]』学生企画
2023年10月28日 沢山ゼミ 第2回
2023年11月24日 沢山ゼミ 第3回予定



 10月から藝大先端所属水野幸司、アーティスト上野森爾、藝大油画科所属東武志の3名が運営メンバーに加えられた。

 メンバーは新たに9名増え、それぞれA、B、Cの3つのグループに分かれ、1ヶ月ごとに交代で企画および運営を担当する体制になった。

 Aグループ、水野・東・岡田、Bグループ、坂下・髙木・上野、Cグループ、中田・葉子・小野というグループ分けである。

 Cグループ中田・葉子・小野のグループでは月に1度3人で集まり、主に中田による建築についての理解を共有しながらHello Beeの建築について考える。葉子は演劇についての企画を計画中。12月には小野の企画した展示に合わせてHello Beeで一般立入を禁止していた和室を展示室にリノベーションする計画を半実行中である。
 Aグループは主に勉強会や読書会を積極的に開催し実行しており、Bグループは音楽に対する深い知見から展示や企画を計画中である。



 私は、この場所の本来の目的を大学に代わる学習の場として捉えている。美大および芸大が現在その機能を適切に果たしていないとする美大批判が存在し、大学教授や大学機関を頼ることなく、生徒たちは自分たちで講師を招いて勉強会を開き、自己教育を行うことができるはずである。これが私たちの意図である。そして、Hello Beeという場所を実際に持つことで、このアイデアを実現し、学習の場を提供することを強調する。
 現在は批評家である沢山遼氏、造形作家で批評家であるK.O.先生、書家、言語学者の方を講師に招きゼミ会を開きつつ、メンバーや関心のある学生が毎週金曜日にHelloBeeに集まり読書会等を行っている。

 このような学生の自主的な集会は過去にも各所で行われており、様々な活動があったように思われるがHello Beeの独自の特色として以下が挙げられると思われる。

 ・根津にHello Beeという拠点を持つ
 ・コレクティブとして1年に1度解体される
 ・毎週金曜日に固定で勉強会を行う
 ・講師を自分たちで招き自主ゼミを行う



 ここで、メンズノンノの雑誌掲載のために作成したHello Beeについてのテキストを紹介したい。主に坂下剣盟、上野森爾により作成された。

「Hello Beeは東京藝術大学の学生を主体に運営するオルタナティブ・スペースです。僕たちは、考えながら、手を動かし、手を動かしながら、考える、制作=思考の持続可能性を検討する実験室であることを掲げています。ただ作品を生産し展覧会をするためだけにHello Beeがある訳ではありません。ギャラリーに留まらず、外部講師を招いた芸術の理論や歴史を学ぶための自主ゼミ、作品の生産過程を実験的に提示するオープン・ラボなど複合的な機能を持つ場所作りを目指しています。
 また、絵画を中心に彫刻、建築、音楽、映像、文学などの諸芸術における「抽象」や「フォーマリズム」といった問題系について関心がある若手作家が多く集まっているのも特色かもしれません。
 作るまえに、見ること、考えること。当たり前のことですが、今それを実践できている(しようとしている)場所は、少ないかもしれません。」


 このように、Hello Beeは単に貸しギャラリーとしてスペースを確保しているわけではなく、各自の学習、思想や理論の探究、制作の場として実験的に結束している。


 今後の活動は未だ未知数で、グループでの企画も始動したばかりだ。この場所はまだまだ流動的であると考えられるが、今後の発展とそれぞれの活動の飛躍になることは期待できるだろう。

追記

📕雑誌MEN'S NON-NOさん
2023年11月号でHelloBeeが紹介されました❗️

キュレーターの髙木遊さんから上野・谷根千の偏愛スポットとしてご紹介いただきHello Beeを掲載させていただきました。
ぜひ本屋さんで見つけたらお手に取っていただけると嬉しいです。
amzn.asia/d/8Z85imZ  

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