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そうしてわたしは発狂した

突然だがわたしはうつである。
もっとも、最近は飲んでいる薬が合っているのか寛解状態ではあるが、わたしのカルテにははっきりと『うつ病』という診断名が記されている。

まず、なぜうつを発症したのかというところから話そう。
2020年、わたしは離婚した。
2019年に第一子を出産し、その年にマイホームを契約、上棟式まで済んだところで突然離婚を告げられた。
なぜ離婚に至ったかというところは長くなってしまう上にあまり面白くはないので割愛する。

突然の離婚宣告。そして極めつけは不倫の発覚だった。
そうしてわたしは発狂したのである。
夜中にベルトを持って突然家を抜け出したり、元夫が仕事から帰ってくる前にクローゼットで首を吊ったこともある。
家族の前で「死にたい」と大声で泣き喚いたこともあった。
別人のようになってしまったわたしに、完全に家族は困惑していた。

わたしは当時、元夫と子と住んでいたアパートから追い出され、実家に身を寄せていた。
家族が寝静まった頃、隣ですやすやと寝息を立てている子供の顔を見ながらわたしは再び延長コードで首を吊った。首にコードが食い込んだ瞬間、やっとわたしは我に返り、寝ている母親のところへ行き泣きながら状況を説明した。
もう自分でも、何をやってしまうかわからなくなっていた。

次の日、わたしは精神科にいた。

「自殺の危険性が高いので、閉鎖病棟に入院してもらいます。」

医者からそう告げられ、わたしは閉鎖病棟に入院することとなった。

翌日、わたしは父親が運転する車に母親と三人で病院に向かっていた。親子三人だけで出かけるのなんて、何年振りだったろうか。しかし、行先は精神病院なのである。わたしは申し訳なさすぎて、何も喋ることができなかった。

病院に着くと、両親は病棟の中まで入ることができず、詰所で別れることとなった。看護師が荷物を持ってくれ、面談室に通される。

「まず、ここに至るまでの経緯を教えていただけますか。」

向かいに座った看護師がメモを取り始める。わたしは離婚のことや不倫のことなどを話していった。元夫について尋ねられ、話している最中にわたしは気分が悪くなり、過呼吸を起こしてしまった。すると医者が飛び込んできて、「ああ、これは感情失禁だね!」と言いながら看護師にホリゾンを持ってくるように指示を出した。入院後10分でわたしは鎮静剤を打たれ、ベッドに運ばれた。

これが、わたしの閉鎖病棟生活の幕開けである。


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