見出し画像

生活が苦手な私が、ものを減らすことで生き延びた話

わたしは生活が苦手です。洗濯も、料理も、入浴も「面倒だな…」と思いながら日々生きています。実家にいたころは部活後の水筒やお弁当箱を鞄から流し台にだすことすら面倒くさがり、母から何度も叱られました。

一番のオクサレ様を作り出したのは小学生の頃。夏休みの間、ずっと水筒を机の片隅に放置したのです。洗わないとなぁ、と認識しながら約1ヶ月放置し、始業式間際にようやく手に取り振ってみたところ、なんと中身が入っている。やーばいなと思いながら母にバレないようなぞの白い物体(おそらくカビ)を捨て、洗剤をぶちこんでしゃかしゃかふり、母のみようみまねでハイター漬けにしました(ハイターを使ったことがなかった)。その後も問題なくその水筒は使えたのでハイター戦法は成功したのだと思います。

実家の部屋もなかなかの散らかりようでした。教科書や借りてきた本、プリントの整理は本当に苦手で、小学生のころは忘れ物もしょっちゅう。なんなら散らかっているほうが落ち着くとまで豪語していた気がします。床にはものが落ちていることが当たり前で、掃除機をかけなさいと母にいわれる度にせっせと机の上にあげ、掃除し、戻す。そのまま片づければいいのに、なぜか戻す。実家全体としても散らかっている家だったので、それが当たり前というか、片づけ方がよくわかっていなかったのかもしれません。

そして、高校生。この段階になりようやく忘れ物すると自分が損するなと気づきました。良くも悪くも古き良き学校だったため、体操服を忘れると体育館の雑巾がけをするというペナルティがあったのです。絶対に、絶対にやりたくない。

「忘れ物はしないほうがいい」という早い人は5歳くらいで気づきそうなその学びを活かし、前の日に準備する、とりあえず必要そうなものは全部持ち歩く戦法を取りいれたことで忘れ物はほとんどゼロへ。学生鞄は毎日信じられないほど重かったですが、忘れ物するよりはいい、と割り切っていました。
課題も忘れたら面倒ですし、大量に配られるプリントも科目毎にファイルで分け、単元がわかるよう整理しておかないとテスト前にどこやったっけ…と痛い目をみます。忘れ物が「じぶんごと」になってようやく、片づけるということを意識するようになりました。

しかし、相変わらず部屋は散らかりがちです。読書が好きだったのでどこかしらに本タワーを築いていましたし、どこかしらにうっすら溜まっているほこりたち。
さすがにお弁当箱は洗うようになりましたが、マグカップは机の片隅に2、3個常駐しているような状態でした。

大学に進学しても本質は変わりなく、なんやかんやと大学生活を終え、就職。ここぞとばかりに上京しました。看護師と新卒という肩書きは便利なもので、わたしのような人間でもとりあえず雇ってくれたこと、とにかく地元を離れたかったことから選んだ東京でしたが、今でもきて正解だったなと思います。この遠い人間関係がわたしには心地よく、やっと1人になれたとひと息つけました。

しかし、上京してはじめて手に入れた自分だけの部屋は帰ってきてもどこか落ち着かず、ほんとうに自分の部屋だろうかとさえ感じました。地元の友達もいませんし、もともと人を呼ぶのが苦手だったので、掃除をするタイミングがやってきません。それに、本格的な一人暮らしをやってみると驚くほど生活が面倒で。

仕事からヘロヘロで帰ってきて、なんとかお風呂にはいり「今日もなにもできなかったなー」と考えながら寝てしまうとあっという間に朝がきて、仕事の時間になる。だんだんと起き上がることもつらくなり休職、数ヶ月後に退職することになりました。

最初に一人暮らしした部屋。

横になってYouTubeを垂れ流しながらなんかやだな、この部屋とぼんやり思いました。
髪の毛は落ちてるし、流しはいつの?っていうお皿が重なっていて、本も大量に積み重なってもはやタワーになっている。洗濯はきらいだし、お風呂も面倒だし、自炊しようと思っても食材を腐らせてしまう日々。もやしやかぼちゃがこんなに腐りやすいってなんでだれも教えてくれなかったんだろう。うまくいくことのほうが少ないのはなかなか落ち込みます。

どうしよう、と働かない頭で考えてみます。
どうも自分は生活が苦手らしい。なんで苦手かは置いておいて、とにかくできない。克服しようと頑張ってみてもいいけれど、体力も気力もない今は得策ではなさそう。となれば頼るものは限られます。

お金を使う、この一手のみ。電気で動いてくれる文明の利器をごりごりに使うことにしました。

まず買ったのはロボット掃除機。なぜ一番に買ったのかというと、髪の毛が落ちているという小さなストレスから開放されたかったのです。クイックルワイパーは持っていましたが、掃除が面倒くさすぎて嫌々使っていました。床が汚いのは嫌だけど、掃除も嫌となるとロボット掃除機しかありません。

結果として、最初にロボット掃除機を買ったのは大正解でした。
時間設定をしておけば自動で動いてくれますし、心配していた音は全然気にならない。そして床にものを置かなくなるという最高の副次効果をもたらしてくれました(充電コードが吸い込まれること数回、書類がくしゃくしゃになること1回で床にものを置かなくなりました)。
床がきれい。これだけでとってもストレスが減ります。デイリーハッスルズ(日常の慢性的な煩わしい出来事)をなめてはいけない、と改めて学ぶよい機会になりました。

日々の掃除から開放され、次に行ったのは紙の本の処分。
紙の本はとても好きですが、電子書籍でも読めますし、ずっと置いてあるのも忍びない。なによりロボット掃除機の邪魔になりますので、メルカリにどんどん出品。本タワーが解消され、最終的に本棚を手放したことで部屋の一角がスッキリとしました。

そうやってロボット掃除機優先の生活を送ると何かを手放すことへの抵抗が減り、掃除機に関係なくさくさくと断捨離できるようになります。
使っていないお皿に、洋服、ラグ、座椅子にローテーブル、ベットフレーム。よくわからない調味料や掃除用洗剤も処分。いろんな方からいただいたものも感謝しつつさよならを告げていけば、生きていくのに必要なものって意外と少ないのです。

そうやって生活のストレスはどんどん解消されていきました。管理しきれないなら、手放す。自分が使いこなせなくてもメルカリで買ってくれた人がうまく使ってくれたら浮かばれるものもあるのかなと思います。

少なく、よりシンプルに。
生活の核にこの言葉を据えることで「家にいる」ことへの違和感が減り、のんびりと過ごすことができるようになりました。


今挑戦しているのは買った食材を腐らせずに使い切ること。「自分のために料理を作る」という山口 祐加さんの本のおかげでだいぶ自炊のハードルが下がりました。食に対するこだわりが自分にはあまりないと気づけたのも大きかったです。だいたい同じ食材を買い、似たようなレシピを使い回すことで「なに作ろうかな」「なに食べたいかな」と悩むことがなくなり、気軽に自炊ができるようになりました。

毎日やらないといけない生活ってとても大変です。自分を生かさなければならない。なるべく減らして、うまく付き合っていく方法をこれからも探していこうと思います。

いいなと思ったら応援しよう!

Rina
読んでいただきありがとうございます!いただいたサポートはnote記事購入にあてさせていただきます。