もっと光を

現代版『リトル・マーメイド』、大満足だった。舞台で考えると「いま上演する意味」を盛り込んだ再演といった感じ。同時に元々のアニメーション作品の懐の深さも思い知らされる。再演は初演に縛られず塗り替えられたほうがいい。ディズニーの願いは未来にどうつながっていくんだろう。とてもたのしみだと思った。

問題点もあった。純粋に海の中のシーンが光量が足りなくて暗く、字幕が入るとハレーションで画が更に暗く見えるので、そこはいくらでも工夫できるだろうにもったいない。海を暗くする(カラーグレーディングをしていないはずもなく)ことの意味より観客のモヤモヤの方が勝っているんじゃないか。「アンダー・ザ・シー」の時は鮮やかな海だったし、序盤のトリトン王と娘たちのシーンでもそれなりに海面からの太陽光も入っていたので、天候を丁寧にシミュレーションしてるのかも。時化のときは海の中も暗い、というふうに。だとしても人魚たちの表情が見えないのは少し残念。アースラもっとしっかり見たい。「ファインディング・ニモ」みたいに海中も透き通る海にしてほしいなあ。じゃなければアリエルたちから見た海中の明度ということでクッキリ見せてほしかった。

ネタバレにはならないと思うので書くけど、最後、トリトン王を目がけたズーム(トラックイン?)はとってもふしぎな味わいがあった。そういえばカメラワークが多彩でたのしかった。「こんなんもできるんで!」みたいなはしゃぎも随所に感じられてほっこり。

僕は甲殻類がとても苦手なのに、リアルな蟹のセバスチャンが早い段階で可愛く見えていて、そういうとこすごいなとも思う。やっぱり丸みを帯びたフォルムだと親しみを覚えやすいんだろうか。

Mサイズのポップコーンを序盤で食べきった。

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