歩いて止まった時の話

三鷹駅構内で、「そうだ、トイレどこだろう」と立ち止まったら、後ろから人がぶつかってきて、「ふざけんなよ!」ということばを残し、その人は足早にホームへ降りていってしまった。急いでいたようだ。
トイレを見つけて用を済まし、新宿まで電車に揺られている間、考えた。

自覚している行動としては、普通の速度で歩いていて立ち止まった、それだけだ。確かに普段だったらその場に立ち止まらず、歩きながら通路を逸れて、ひと気のないところまで行くようにしているので、うかつだったとも言える。

とはいえ、こちらはぶつけられた側でもあるので、衝撃はある。事象だけを並べると、僕に対して「ごめんなさい」と言っても何らおかしくない場面ではある。そこにきて「ふざけんなよ!」だ。びっくりした。少しムカッとも来た。用を足している時には笑えてきた。

その人には「ふざけんなよ!」というだけの事情があったのだろう。こっちにとっては知らんがな、だけど、世の中そういうことばかりだ。つまり、色んな事情からことばが生まれるという話だ。

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