つづけるために、出会う場へ

今日は涼しくて、過ごしやすい1日でした。
最近はミナモザ『イェルマ』の稽古の日々です。あーでもないこーでもないとみんなで戯曲を読み解いていきながら、それぞれの身体たちに言葉を積み重ねています。彩の国さいたま芸術劇場ではさいたまネクスト・シアターが本番を重ねていて、ふしぎな気持ちです。

さて、話題は変わります。

ほろびてが、とても行き詰まっていた2019年。僕は藁にもすがる思いで、アーツカウンシル東京主催事業「アーツアカデミー:芸術創造活動の担い手のためのキャパシティビルディング講座」に応募しました。

どういうものなのか、十全に理解した上で臨んだわけではなかったのですが、「芸術創造活動の担い手」がどんなことをすれば、「芸術創造活動」で最低限でも、生活ができるのだろうか、ということをすごく知りたいと思ったのは大きな要因でした。芸術創造活動には、いくつかのレイヤーがあると思うのですが、表に出て表現をしていく人でも、大手プロダクションに所属して、商業ベースの舞台に立ち続けることではなく、インディペンデントで独自の表現を模索していく人間が、どういう方法で「表現」と「生活」を結びつけていったのか、結びつけていくのか、は、ほろびてを始めてからずっと「知りたい!」「けど、わかんねー!」という領域でした。「売れる」とか「賞をもらう」は結果であって、目的でも方法でもない。自分に必要なのは「表現そのもの」が自分と、それから、社会にとって小さくとも価値のあるものである、ということを考えること。自分一人で考えても限度はあるし、どんな人とそんな話をしたらいいかわからない、演劇とか芸術とかの結びつきの話がしたい、演劇をするために自分に足りてないことを知りたい、といったこともろもろがアーツアカデミー応募の動機でした。

講義では、クリエイションというよりその後ろにある、芸術と社会との関わり方を考えたり、どういう形で資金って作り出したらいいんだろうね、といった多様な話を聞き、いろんな角度から考える時間を得ました。

とてもよかった。受講生で演劇カンパニーの主宰は僕だけで、あとは映画・音楽・パフォーマンスなど、いろんなバックボーンの方が集まっていて、毎回ディスカッションをしたり、それぞれのお話を聞いたり。

講座の中で実感を持って知ることができたひとつに、どのセクションにも心を砕いて動いている「人」がいて、それぞれが試行錯誤しながら動いているということがありました。複数のセクションの動きがうまく連結すると、大きな繋がり(プロジェクト)になるんだなということ。

演劇や芸術の話ってしたくても、実感を持って会話を交わすということがなかなかなかったりするのですが、この講座に通っているときは、みなさんが持ち寄ったこってりした濃いエピソードを聞けたり共有できたりするので、「何これ、たのしい」という日々でした。

最後には一つ、個人でやりたいこともできました。それはゆっくり実現させていくつもりです。

何が言いたいかというと、芸術と社会の関わり方とか、自分のやっている芸術活動の言語化などに興味がある方、検討してみてはいかがでしょうか。
現在受講生を募集しているそうです。
締切は9月1日(水)17:00まで。
https://www.artscouncil-tokyo.jp/ja/events/48648/

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というところまでをFacebookに書きました。こっちではもう少しだけ。

今、体力のあるカンパニーですら厳しい状況が続いていると思います。まして、ソロ・カンパニーでつながりの弱いところは、芸術活動を一時諦めて、生活のために働く、という選択をしている人も少なくないのではないでしょうか。

こういう時期に、閉じこもって自分の殻を固く厚くするのではなく、普段交わらないような人たち、「好き」を持っている人たちと出会いに行くというのもいいのでは、と思っています。折れてしまわないように、つながる場に、できれば参加してもらいたいなと思っています。

いただいたサポートは、活動のために反映させていただきます。 どうぞよろしくお願いいたします。 ほそかわようへい/演劇カンパニー ほろびて 主宰/劇作、演出/俳優/アニメライター