pom

読書手帳として、noteを活用します。本の中で見つけた「キラッと光る言葉」を集めます。

pom

読書手帳として、noteを活用します。本の中で見つけた「キラッと光る言葉」を集めます。

最近の記事

板上に咲く

あの人は、版画なのだ。 あの人は、自分の体も、命も、版画になってしまうということを願っているのだ。 自分も、ひともなく、命も体もなく、あってもなくなるようなことになっていき、版画そのものになってしまうのを願っているのだ。 いま、わかった。 版画こそが、あの人なのだと。

    • 君が手にするはずだった黄金について

       そういった知識を蓄えていくことは、たしかに局所的な進歩ではある。でも、結局のところ人間という不完全な存在が、社会という不完全なシステムを動かすために生みだされた必要悪や建前であり、必要ではあるけれども結局悪は悪で、嘘は嘘だ。僕たちは局所的な進歩の過程で悪と嘘を内面化していく。それが大人になるということの一部なのは間違いないが、同時に人間としての退化でもある。

      • 最愛の 上田岳弘

        「遠くにある憧れ、そこに向かおうとする衝動。あるいは、寂しさという引力にひかれあって一つになろうとする。けれど、本当に人が一つになってしまうと、人類も歴史もおわってしまうから、結ばれなさが必要になってくる。一つになろうとする引力と、それを邪魔しようとする斥力(せきりょく)。両方が揃わないと、生命は永久機関ではなくなってしまう」 記憶は常に薄れゆくものだし、自分でも制御しきれないところで書き換わっていくものだ。実際に見た光景が薄れていき、多分こうだろうという予想が、気づかぬう

        • 街とその不確かな壁

           秋、獣たちの体は、来たるべき寒い季節に備えて輝かしい金色の毛に覆われる。額に生えた単角は鋭く白い。彼らは冷ややかな川の水で蹄を洗い、首をそっと伸ばして赤い木の実をむさぼり、金雀枝(えにしだ)の葉を嚙む。 「いいですか、この街は完全じゃありません。壁だってやはり完全じゃない。完全なものなどこの世界には存在しません。どんなものにも弱点は必ずあるし、この街の弱点のひとつはあの獣たちです。彼らを朝と夕に出入りさせることで、街は均衡を保っています。おれたちは今そのバランスを崩したわ

        板上に咲く

          だれかに、話をきいてもらったほうがいいんじゃない?

          平穏は、騒音がない場所、激務を求められない場所に行けば得られるものではない。平穏とは、そうしたただ中にあっても、心が穏やかであることだ。 セラピーとはありのままの自分を理解すること。だが、ありのままの自分を知る過程で、人は見知らぬ自分と出会うことになる。私はこの程度の人間だという思いこみを捨て、自分でしかけた罠から抜けだし、この程度の人生しか送れないという思いこみからも解放されて、生きたいように生きるようになるからだ。 孤独を感じるのは、たいていなにかの隙間時間だ。セラピ

          だれかに、話をきいてもらったほうがいいんじゃない?

          サーカスの子

          長田弘「自分の時間へ」 記憶という土の中に種子を播いて、季節のさなかで手をかけてそだてることができなければ、ことばはなかなか実らない。じぶんの記憶をよく耕すこと。その記憶の庭にそだってゆくものが、人生とよばれるものなのだと思う。 人には誰にでもそのように、長く耕してきた〈記憶の庭〉があるのだろう。そして、僕にとって幼い頃のサーカスの記憶とは、まさしくそのようなものになっていたのだと思う。

          サーカスの子

          自傷的自己愛の精神分析

          自分が愛される可能性が信じられる 自分には愛を獲得するスキルがある 愛されることに意味と歓びを感じられる 可能性、スキル、歓び クラスにおいて個人のキャラの設定と、カースト上の位置づけとは、ほとんど同時に決定されるのです。そこには決定の主体が存在しません。両者を決めるのはあくまでもクラスの「空気」で、だからこそ、誰も決定に逆らえないのです。空気には反論も抗議もできませんからね。 精神科医の中井久夫氏は、健康な精神のあり方を「自分が世界の中心であると同時に世界の一部に

          自傷的自己愛の精神分析

          地図と拳

          アルキテクトンというギリシア語だ。アルキとはアルケー、すなわち「始まり」を意味している。テクトンとは「技術者」という意味だ。つまり、アルキテクトンとは、「始まりを作る技術者」という意味なんだ。 建築とは時間です。建築は人間の過去を担保します。 戦争構造学とは、地図と拳の両面から、日本の未来を、そして、人類の未来を考える学問です。戦争構造学とは、地理学、政治学、歴史学、軍事学、物理学、人類学などを含む、領域を横断した学問です。 土には三種類ある。一番偉いのが「作物が育つ土

          地図と拳

          人生の法則

          「受け取って」「考えて」「真似して」「伝える」 いっぱい受け取って、いっぱい考えて、いっぱい真似して、いっぱい伝えて。それだけがヒト意識の存在意義だし、それだけが幸せになる方法なんだよ。 わたしたち人間は、文化が生き延びるための道具なのだ。だから、ただ生きて子孫を残すだけでは幸せになれない。 わたしたちの本能は、文化を「受け取って、考えて、真似して、伝える」ことで、心からの幸せを感じるようにできている。 「人間は本能が壊れた生物だ。その代わりに文化・文明を発達させた」

          人生の法則

          スマートノート

          面白い要素とは何か? 1.具体的な経験談(失敗談) 2.的確な「たとえば」話 3.「要するに」抽象化 4.無茶なギャグ、ダジャレ 5.ムリくりイラスト化、替え歌 6.キャラ化 私は「現代社会では、面白くなることが人生で幸せになる一番効率の良い方法だ」と思っています。 大学で学生相手に講義する時は、全身全霊で準備して資料を集めて緊張してテンション上げてギャグまで考えて話すんですよ。 「手に入れる」とは自分の手で掴むこと。自分の体を使わないと技術は身につきません。 「見識

          スマートノート

          評価経済社会

          トフラー「第三の波」 堺屋太一「知価革命」 「やさしい情知の法則」=「どんな時代でも人間は、豊かなものをたくさん使うことは格好よく、不足しているものを大切にすることは美しい、と感じる」 ある時代のパラダイム(社会通念)は、「その時代は何が豊富で、何が貴重な資源であるのか」を見れば明らかになる。 価値観の変化によって社会は変化する。 「モノ不足・情報余り」 資本主義中世 ネット中世 近代「誰もが豊かになるために競争する社会」   「誰もが他人に影響を与えることを競争する社

          評価経済社会

          「スマホ脳」

          アンデス・ハンセン/著 久山葉子/訳 ドーパミンは満足感を感じさせ、それをしたいと思わせる物質。 ドーパミンの最も重要な役目は私たちを元気にすることではなく、何に集中するかを選択させることだ。つまり、人間の原動力とも言える。 デジタル・デトックス 脳は後ろから前に向かって成長していく。初めに首の後ろの部分が成熟し、最後に額のおくにある前頭葉だ。なぜ前頭葉 衝動を制御する部分は成長に時間がかかるのだろうか。前頭葉は社会的な協調にも重要で、人間のそれは非常に複雑だ。訓練し、

          「スマホ脳」

          「学校弁護士」神内聡/著

           教員が児童生徒に対して懲戒権を行使できると学校教育法11条に規定されていることから、懲戒権を行使する際の「基準」として校則を制定できると考えている。懲戒は児童生徒にとっては不利益なことであり、教師が児童生徒に不利益を与える上では何らかの合理的な基準が必要だからだ。  ある生徒に対してうまくいった指導が別の生徒に対してはうまくいかなかった、それどころか逆効果になった、といったことを経験している。失敗経験があるがゆえに、生徒指導の難しさや大切なポイントを理解しているのだ。その

          「学校弁護士」神内聡/著

          「風よあらしよ」村山由佳/著

           ほんの数年前に創立された若い学校だけに、上野高等女学校はよそと違って「良妻賢母」をうたわず、かわりに「自由教育」を標榜している。 一、教育は自治を方針とし各自責任を以て行動せしむること。 一、華を去って実に就き虚栄空名を離れて実学を積ましむること。  今はこれほど穏やかな波も、あらしの日には激しく逆巻くのだそうだ。  遠い水平線を見やる。  まばたきをする一瞬、抜き手を切って荒波を泳ぎ越えゆく少女の幻を見た気がした。

          「風よあらしよ」村山由佳/著

          13歳からのアート思考

           たとえいまの状態が周りの人から褒められるようなものではなくても、一向に成果が出なくても、目標さえも見つからなくても、ちゃんと「自分の興味」に向き合っていれば、必ず「点」と「点」はつながります。  四方八方に散らばった「探求の根」が地中深くで1つにつながっていく「アートという植物」の姿のように。  むしろ、これからの時代の子どもたちに必要なのは、すでに存在する職業のなかから「正解」を選ぶ力ではなく、むしろ、自分のビジョンや夢をもとに「職業そのものをつくっていく力」のほうだろう

          13歳からのアート思考

          「ガダルカナル悲劇の指揮官」NHKスペシャル取材班/編

          圧倒的な火力で攻撃してくるアメリカ軍に対して、指揮官は大勢の立て直しを図った。むやみに銃剣を掲げた白兵突撃を命じたわけではない。一木は、混乱の中でも冷静に事態を掌握し、起死回生の作戦を立てようとした。

          「ガダルカナル悲劇の指揮官」NHKスペシャル取材班/編