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23年8月第1週決算振り返り④(住友商事、東ソー、三菱商事、花王、任天堂)



引き続きマイPF銘柄の決算振り返りです。


〇住友商事1Q決算

【決算概要】
◆1Qの売上高は前年同期比3.5%増の1兆6713億円
◆1Qの最終利益は前年同期比16.6%減の1294億円
◆通期計画の4800億円に対する進捗率は27.0%
◆配当予想・業績予想に変更なし

増収減益の決算となりました。減益は想定通り、27%の進捗率はまずまずといった印象です。

全体としては、資源・エネルギー価格下落に伴い資源分野が57.8%の減益となる一方、非資源分野については前年同期比トントンと好調を維持しています。

以下、セグメント別の四半期実績です。

住友商事決算説明資料より引用

非資源分野の建設機械事業が好調で、前年同期比93.6%の増益となっています。また、国内の電力小売事業も回復傾向にあります。

一方で、資源・エネルギー価格の下落により資源ビジネスが振るわなかったこと及び化学品事業が市況悪化により低調でした。

住友商事に限らず今期の総合商社に関しては減益は想定済。引き続き進捗を見守っていきます。


〇東ソー1Q決算

【決算概要】
◆1Qの売上高は前年同期比4.6%減の2406億円
◆1Qの経常利益は前年同期比49.0%減の222億円
◆上期計画の320億円に対する進捗率は69.5%
◆配当予想・業績予想に変更なし

減収減益の決算となりました。先の本決算時に上期は苦戦することが想定されていましたが、蓋を開けてみれば69.5%の進捗率。まずまず健闘したなと感じています。

以下、セグメント別の実績です。

東ソー決算説明資料より引用

主力のクロル・アルカリ事業で苦戦していることが分かります。苛性ソーダや塩化ビニル樹脂などが需要減により国内外で出荷が減少、ナフサ・石炭等の原燃料価格下落に伴い交易条件は改善したものの、 在庫受払差が悪化したことにより減収減益となっています。

化学セクターは全般的にどこも苦しい状況が続いていますね。


〇三菱商事1Q決算

【決算概要】
◆1Qの最終利益は前年同期比40.5%減の3177億円
◆通期計画の9200億円に対する進捗率は34.5%
◆配当予想・業績予想に変更なし

前年同期比では大きく減益となったものの、進捗率は34.5%と好調な滑り出し。調整後のフリーキャッシュフローは4,074億円と前年同期(5,403億円)には及ばないものの、引き続き高水準のキャッシュ創出力を維持しています。ちなみに減益は3年ぶりです。

以下、1Qの決算サマリーです。

三菱商事決算説明資料より引用

前年同期比での減益▲2163億円の主要因は、資源価格高騰の反動(減益幅2163億円のうち約76%にあたる1650億円が資源、特に石炭の影響)。

過去最高益だった前年同期比では大幅減益ですが、前四半期比では増益を達成しており、引き続き利益水準は堅調に推移しています。

続いて、セグメント別の状況を簡単に見ておきます。

三菱商事決算説明資料より引用

豪州原料炭事業における市況下落による影響などで銅事業含む金属資源事業が62%減と低迷。それ以外では自動車・モビリティ事業や化学ソリューション事業の減益が目立ちます。複合都市開発事業についても大幅減益となっていますが、前年同期に計上した不動産運用会社の売却益の反動によるものです。


〇花王中間決算

【決算概要】
◆2Q累計の最終利益は前年同期比57.3%減の166億円
(コア最終利益は32.3%減の263億円)
◆通期の同利益を従来予想の880億円→410億円に53.4%下方修正
◆配当予想に変更なし

中々強烈な中間決算となりました。600億円の構造改革費用計上に伴い、通期の最終利益を53.4%下方修正(410億円見通し)、予想EPSは88.20円。今期の1株配当150円は維持するようなので、完全にタコ足配当となります。花王にとってタコ足配当は初めてではないでしょうか。

業績がピークだった18年12月期の最終利益は1536億円、EPSは314円ありましたから、当時と比べると今期は70%以上利益が減る計算となります。非常に苦しい状況ですね。

以下、1Q(1月~3月)→2Q(4月~6月)の営業利益増減分析です。なお、以下では、構造改革費用を除いた利益が「コア利益」として表示されています。

花王決算説明資料より引用

2Q単体で見ると、トイレタリー部門においては、原材料高の影響を値上げで完璧に打ち返すことに成功しています。花王は昨年から徐々に戦略的値上げを開始しましたが、中々原材料高を打ち返すまでには至りませんでした。ここに来てようやくといった所です。

また、決算説明資料の12P~13Pおよび前回1Q時の決算説明資料7P~8Pを比較すると、1Qから2Qにかけて販売実績および業績に改善傾向が見受けられます。特に利益率が改善(1Q:2.1%→2Q:6.8%)している点は注目です。

更に2Q単体でのコア営業利益は267億円と会社計画の252億円を上回っていますし、1Q時の進捗率が5.5%だったのに対し、コアベースで見れば進捗率は30%弱まで回復してきています。

以上、2Q単体を見ただけなので今後も進捗を見守る必要はありますが、こうして見ると、一筋の光明が見えてきます。

さて、今回発表された構造改革ですが、果たしてどれほどの効果を発揮するのか見守っていく必要がありますし、効果が発現するにしても一定程度時間がかかると思います(決算説明資料によれば、「2024年から効果が表れ、2025年から約300億円の改善効果が継続する」とされています)。

配当に関しては決算説明資料の27年までの中期資本政策において、安定配当の維持・継続と明記されています。とはいえ、業績あっての配当金です。構造改革を契機とした復活を期待します。

なお、報道ベースでの構造改革の内容は以下の通り。

【花王構造改革】
・「メリーズ」ブランドの紙おむつを製造する合肥工場(中国)での生産を終了。工場売却などについては現地政府と調整して決定。
国内の生産体制の最適化を検討。長谷部佳宏社長は同日の決算会見で「紙おむつに限らずすべての工場で最適化する」と説明。年内に詳細な内容を公表予定。
化粧品ブランドの統廃合も継続。ブランド数は最大で約50あったが、現在は約30まで減らした。さらに約10ブランドを対象に事業を継続するかどうか判断。
・原価率の改善などの効果は24年12月期から出始め、25年12月期以降は年間300億円の利益改善を見込む。

日経朝刊および決算説明資料より引用作成


〇任天堂1Q決算

【決算概要】
◆1Qの売上高は前年同期比50.0%増の4613億円
◆1Qの経常利益は前年同期比52.2%増の2537億円
◆通期計画の4800億円に対する進捗率は52.9%
◆配当予想・業績予想に変更なし

増収増益決算で進捗率52.9%と好調な滑り出しとなりました。営業利益・純利益ともに1Qとしては過去最高となっています。

以下、任天堂スイッチの販売状況です。

任天堂決算説明資料より引用

1Qに、新作タイトル『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダ ム』が1,851万本の販売を記録したことや『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の公開や映画に連動したキャンペーンの効果などにより、マリオ関連タイトルが好調に推移。結果、ソフトの販売本数が前年同期比で+26.1%増加しています。

また、ソフトの販売本数が大きく増加したことで、ハードウェアの販売へのけん引効果も⾒られ、ハードの販売台数も+13.9%増加しています。

やはりというべきか、1Qの好調な滑り出しの要因としては、マリオの映画や大人気タイトルゼルダの伝説の影響が大きいです。

為替レートが円安基調で推移していることも業績好調の一因。任天堂は、豊富なドル建てやユーロ建ての現預金を持つため、円安局面では評価益が生じます。今回、営業外収益として472億円の為替差益を計上しています。

なお、通期の業績見通しは据え置き。1Qは非常に好調でしたが、ゼルダという大ヒットタイトルの発売と大ヒット映画の公開が重なるというある種特殊な状況下でしたので、通期については慎重に見極めようということでしょうか。

任天堂は子供の頃からお世話になった企業であり、大人になった今でも大好きな企業の一つ。応援の意味を込めて約5000円で2株だけ投資していますが、今後大きく売られた時などチャンスがあればもう少し株数を増やしたいと考えています。

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