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陶芸をして、急に自分の人生を見つめ直した話

10月に入って、肌寒さを感じるようになってから「今年の終わり」を急に感じ始めた。
2023年も残り76日。あと20%しかない。

私は毎年、この時期になると来年の目標を必ず決める。
・やりたいこと
・行きたい場所
・欲しいもの
・会いたい人
・やめること
これらを毎年5つずつ書き出して、達成したら💮を付ける。

ちなみに今年の目標の中で、今達成しているものは6個だけ。毎年そんなものだ。

来年は何をしようか。旅行はここに行きたいな。来年こそ、これを買おう。どんな一年にしたいかな。
夢や目標は考えている時が一番楽しい。

毎年、項目は変わらないのに、書き出す内容は全く違う。

去年の私は、オーストラリアに短期留学に行って、ダイビングのライセンスを取得し、ブランドのバッグを買いたかったらしい。
今は全くそんなこと思ってないのが、面白い。

そして今年の私は、やたら現実的な目標を立てている。

というのも先日、箱根で陶芸体験をした時に、コップを作りながら何を思ったのか自分の人生を見つめ直した。

体験の最初に、作り方を指導してくれる先生が、お手本で色んな形を作って見せてくれた。
丸いコップを作りたい時は、内側から力を加えて丸みを出す。細くて深いコップを作りたい時は、周りから優しく包んで伸ばす。
少しの力加減で形が大きく変わり、ちょっとした指使いが歪みになる。

初めて触れる陶芸に楽しさを覚えつつ、その奥深さに一瞬で心を打たれた。
こんなに無心になって、目の前のことだけに集中したのは久しぶりだった。

手先に使い方に慣れるのに、そんなに時間は掛からなかった。子どもの頃にかえったような素直な気持ちで、冷たく柔らかい土に触れ、自分の手の感覚でみるみる形が変わっていく様子を見て色んなことを考えた。

今まで「今が楽しければ何でもいい」と本気で思って生きてきた。好きなことに好きなだけ時間もお金を使ってきたので、後悔は何もない。

だが、このまま変わらずにいたいかと考えたら、それはまた違った。今までとは違う楽しさも経験したい。

今年、自分の中で大きな変化が二つあった。

一つは「仕事」
今年の4月に転職をし、早いものでもう入社半年が経つ。仕事にも慣れ始めて、楽しさも感じ始めてきた。

今まで、キャリアのことなど全く考えたことがなく、前職はほぼ惰性で仕事をしていた。それが転職をしてから、人生で初めて仕事が楽しいと感じるようになって、働くことが苦ではなくなった。

一週間のうち5日間、つまらない日だったものが楽しい日に変わると、人格すら変わるんじゃないかと思うくらい考え方が変わった。

「仕事に生きるのも悪くないかもしれない」今までの私からは考えられないような言葉が、今は言える。一番の変化かもしれない。

もう一つは「結婚への意識」
私は今まで結婚願望がそこまで無かった。全く無いというわけではなく、いつかするだろうという憧れでしかなかった。

今年26歳になり、周りの友達も結婚する子が少しずつ増えてきた。これが結婚ラッシュというやつかと呑気に考えていたが、ふと我に返り、憧れでしかなかった「結婚」が遠い未来ではないことに気が付いた。

結婚願望が芽生えたというよりも、結婚への意識が変わった。これも自分の中では大きな変化だった。

どちらも、人生において大きな分岐点になるもので。その二つが一気に訪れると、どれだけ楽観的な人間でも現実的に物事を考えるようになる。

無心で陶芸をしながら、これから自分はどう生きるんだろうと考えた。こんな重いテーマを考えながら、陶芸体験をしていたのは多分私だけだ。

陶芸は、自分の心と向き合うのに最適だと思う。毎日の生活で息苦しさを感じた時も、何かに集中することで不思議と心が落ち着く。

自分の気持ちを自由に表現することができる陶芸は、精神統一にも似通った面もあるそう。実際にやってみてそうだったので、これは本当だと思う。

そんなものづくり体験をした結果、今年の私は現実的な目標を立てた。

楽しさを優先するのでなく、真面目なことも考えるようになるなんて。
これが大人になることか、と少しだけ思う。そんな心境の変化が寂しいようで、何だか嬉しい。

陶芸体験で作ったコップは、塗装した後に焼かれて、2ヶ月の12月に自宅に届く。完成形が予想できないところも陶芸の魅力のひとつだ。

完成したものを手にした時、きっとまた何か考えると思う。この日の思いが詰まったコップ、出来上がりが楽しみです。


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